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■移住者顕彰の第3ステップ=旧神戸移住センターを国立の「海外日系人会館」へ=在伯日系団体も協力

7月26日(土)

 国立海外日系人会館推進協議会(平田幸廣会長)は、五年後の移民百年祭にむけて旧・神戸移住センターを、国立の「海外日系人会館(仮称)」として保存・活用するよう進めている。同会の海外移住者顕彰事業は、三つのステップにわかれており、現在は第三ステップ。第一ステップとして〇一年、神戸港メリケンパーク先端に移住一家の出発像を建立。翌年、第二ステップは海外移住者が移住センターから港まで歩いた移住者ルートの整備を行った。

 ブラジル日本文化協会(上原幸啓会長)、ブラジル都道府県県人会連合会(中沢宏一会長)、サンパウロ日伯援護協会(和井武一会長)の日系三団体が、同センターの保存・活用に協力を約束した。
 来伯した黒田公男同会事務局長は「二十四日の段階で、正式な書類のサインに至ってはいないが、面会や電話で協力する約束は貰った。また、兵庫県人会(尾西貞夫会長)にも出向き、支援を依頼する予定」と言及。「特に、上原会長は十歳の頃、神戸移住教養所(戦後は神戸移住センターに改称)で過ごした。また、専門の水利事業でも神戸と密接な関係があり、全面的な協力を約束してくれた」と笑顔を見せた。
同センターは、鉄筋コンクリート四階建て、延べ三千五百平方メートル。二八年に移民を奨励する政府の政策によって「国立移民収容所」として建設された。戦後に「海外移住センター」として活用し、七一年に閉鎖。その後、同市が買い取り、准看護婦寮などに使われた。昨年からは芸術家グループ「CAP HOUSE」が管理している。
 同事業に関して、以前からコロニアは協力を惜しまない。九九年十月に県連(当時、網野弥太郎会長)、文協(当時、岩崎秀雄会長)、援協、兵庫県人会が連名で笹山幸俊神戸市長宛ての陳情書「移民記念館実現に関するお願い」を提出。〇〇年四月にも文協、援協、県連(当時、西谷博会長)が連名で河野洋平外務大臣に要望書「『旧神戸移民収容所』建物保存及び国立神戸移民記念館のお願い」を提出。同事業推進に大きく貢献した。
 今回、コロニア団体は、兵庫県に対して要望を行う。その背景には、二十四日に神戸市が外務省に対してセンターの保存・活用を要望することを決定したことがある。さらに、県から外務省に対して働きかけることを狙う意図が見える。
 黒田事務局長は「センターは現在、地域のブラジル人子弟に対してポ語教育行っている。資料を展示するだけでなく、若い人も来るような未来志向の会館にしたい」と意気込みを語った。今後はブラジルのみならず、アルゼンチンやペルーなどの日系団体にも協力を要請する予定。