7月29日(火)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十八日】政府が農村部と都市部の占拠活動を異常事態と認め、強硬措置を表明したことで農地占拠運動(MST)のジョアン・P・ロドリゲス新代表は二十七日、労働運動で見せたルーラ大統領の路線を踏襲しただけと声明を発表した。大統領自身が工場を占拠した体験者であり、MSTに手本を示し、階級闘争を教えたと反ばくした。大農場解体運動をMSTから奪うのは、大統領からストを奪うものと反論した。
農地とビルの占拠攻勢と年金改革反対運動の執拗な抵抗を、政府は持て余している。特別報告書は社会運動の先鋭化で、雇用創出や社会政策などの緊急対処を促がす内容となっている。
年金改革の議会工作努力も基本金利の引き下げも、事態の打開には供しないと否定的見解が盛られている。社会政策は経済政策の並行事業として扱うのではなく、経済政策の一環として扱うよう提案している。これまでの小口金融などのような政府の景気刺激策では、事態解決には至らないと赤信号を灯した。
一方、カトリック教会フランシスカン派のロザナ教会もうでに参加した三千五百人のMSTメンバーを前にロドリゲスMST代表は、大統領が占拠に反対するのであれば、大統領は大地主派に属する旧体制派であると敵対宣言した。
政府が大地主に対し行動を起こす時期が到来したと、同代表は政府の決断を迫った。MSTが踏襲しているのは、階級闘争であって暴力ではないという。教会も占有された農地の占拠は、民主憲法に抵触しないし暴力でもないとみている。バネスタードの公金流用など政治家の権限乱用により強引に占有された農場は、農地解放の対象だと述べた。
ロドリゲス代表は、MST全国幹部会の新進候補として注目されている。幹部会は、二年ごとに改選される。ロドリゲス代表は今年から、ブラジリア本部で政府や議会との折衝でMST代表とMST報道官の役目を兼務している。
またサンパウロ市でビル占拠を決行した都心部ホームレス運動(MSTC)は、グループに点数制度を設けた。点数の多いメンバーから、優先的に住居供与されるようだ。寄付三レアルごとに、集会参加ごとに、労働奉仕一日ごとにそれぞれ一ポイント。ビル占拠に参加したら三ポイントで、幹部が記帳する。
アウキミンサンパウロ州知事は、占拠への政治家関与について政府見解は的外れだと警告した。政治家の関与は偶発ではなく、最初から作戦の考案と戦術の執行で関与していたと述べた。MSTは、戦闘的な方針を打ち出し活動を過激化した。これは突発的に起きたのではなく、周到に準備された組織的なものと指摘した。
カメラマン射殺事件は州農事試験場のトラクター五台の盗難や数々の犯罪の証拠を押さえたことで口封じのための射殺だと、知事は告発した。MSTは農地改革運動の域を越え、政府は連邦令の定める措置を執っていないと非難した。