7月30日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十九日】経済開発審議会の企業家グループが二十八日、基本金利の引き下げや工業製品の価格調整、インフレによる給与の目減り調整などを盛り込んだ経済回復措置を至急講じるように政府へ要請した。グラジエンテのスタウビ社長は、一九六五年経済危機の様相を呈していると言及。サンパウロ州工連(FIESP)のピーヴァ会長も、何らかの起死回生策が必要と産業界の停滞を憂慮した。
企業代表や労組代表、政府関係者で構成される経済開発審議会(CDES)は、景気回復に向けた包括案の即時発令を請求した。事態は一九六五年の経済危機と同様ケースであり、中長期計画では経済情勢が悪化の一路をたどると警告した。
当初からPT政権を支持してきたスタウビ社長は、経済停滞で最大の問題は高金利政策だと批判した。七月の中央銀行通貨審議会の決定は、現情勢には不適切で労使の期待に背いた措置だとし、景気の回復には何ら供しなかったと批判した。
経済回復のためには、二〇〇三年の基本金利を年利八%に、二〇〇四年には五%に下げるように提案した。また市中銀行の強制供託率を下げ、産業界への流通量増加を図ることを要請した。銀行間のスプレッド(金利格差)取引を制限し、住宅部門への投資奨励を提案した。為替管理は一ドルを三・三〇レアルから三・五〇レアルの間で操作し、輸出に歯止めをかけないのが望ましいと述べた。
FIESPのピーヴァ会長は、失業が引き起こした社会不安が、自動車企業は滞貨の山、商店は景気後退、財政状態を圧迫する在庫で産業界に悪循環を引き起こしたと述べた。なぜ、市民を不安の坩堝へ投じたのか、ブラジルは労使間の協調を熟知している、必要なのは解決へつながる行動だと、同会長は訴えた。
高金利政策の矢面に立たされたメイレーレス中銀総裁は二十八日、通貨政策が保守的だとする批判に反論した。高金利政策はインフレ抑制という至上命令のためで、面白くて金利を上げたのではないとし、保守的中銀は誤解だと反論した。
低率インフレは経済成長の必須条件であり、雇用創出と貧困撲滅のために中銀は経済成長の環境づくりに努力していると弁明した。
ただし理想実現は来月実現というものではなく、数年後に達成可能だと述べた。銀行のスプレッド取引抑制のために供託率を引き上げ、銀行の流動資金を吸収したことには触れなかった。
マンテガ企画相は、景気刺激策の大衆車生産計画は年内に実施されると発表した。自動車生産企業に減税し、低利融資で同車は販売される予定。国庫にとっては大幅税収減が予想されているが、大衆車生産で組み立て企業と部品製作企業の雇用拡大が期待される。