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自動車工業の人員整理阻止=企画相が減税措置=経費節減で業界活性化へ=雇用創出にも期待

8月2日(土)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙八月一日】自動車産業を脅かしている人員整理を阻止するためギード・マンテガ企画相は三十一日、車両生産の工業製品税(IPI)を減税して、組み立て企業に解雇中止を取り付けた。IPI減税により自動車産業はコスト・ダウンを図り、融資緩和により大量の車両販売を意気込んでいる。製紙や製鉄、輸出部門も税制恩典を受けて、失業の増加に歯止めをかける。

 政府と車両組み立て企業、労組は十二月三十一日までの期限で、IPIを減税し割安車両を販売することで合意した。財務相も最近IPIの税収が一八%減収していることで、割安販売は税収増につながると合意をした。同緊急措置は業界の景気回復と在庫整理にも、拍車をかけると期待されている。
 企画相は減税の代償として、自動車企業の人員整理中止を確認した。同措置により自動車関連部門へ、単に在庫整理にとどまらず、新たに三十万人の雇用創出も見込まれている。 
 また他業種の紙パルプ、製鉄、輸出などにも、税制上の恩典や融資面の援助を示唆した。企画相は企業の人員整理中止を代償に、政府は便宜を図るとしている。政府は段ボール業界へ、十年計画で百四十億ドルを投資して、本格的な雇用創出を立案している。そのために税制上の恩典、融資条件などを目下考案中だ。
 企業は製品の価格調整や利益調整を行わず厳密な管理のもとに、IPI税率低減の要請を行うなら、政府は応じる用意があるという。引き下げ率は、各部門の内容次第となる模様。政府は近日、工業生産と技術振興についての新政策を公表する予定。ジルセウ官房長官は財界関係者を招集し、政治と経済支援のサークル設置を提案した。
 カナダの世界貿易機関閣僚会議から帰国したばかりのフルラン産業開発相は、産業開発構想を携えやる気満々。開発相の構想発表は、自動車産業の生産性フォーラムの後になる予定だ。開発相構想は、画期的な中長期計画といううわさがある。大統領は訪欧に先立ち、フルラン構想を発表したいと開発相に催促した。
 生産性フォーラムは主催が自動車工業、労組、企業家連盟、産業開発銀行(BNDES)など。共催として産業開発省、海外貿易局、財務省、科学技術省、労働省、企画省などが控えている。国際市場へ挑戦するブラジル自動車産業の問題点を討議する。
 また国内市場の販売低迷と雇用創出、従業員の所得安定についても、労組の労働者支援基金(FAT)の後援で討議される。