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日本企業工場に強盗団=総領事館発表=被害総額60万ドル以上

8月2日(土)

 先月初旬、日本企業の工場に大規模な強盗団がトラックで押し入り、合わせて六十万ドル相当の商品、資材などが強奪されていたことが三十日、サンパウロ総領事館(赤阪清隆総領事)主催の安全対策会議で発表された。
 企業名、工場の住所は一切公表されていないが、この工場では一昨年、昨年にも同ようの被害に遭っていた模様。強盗団は日系人の工場長宅をまず襲い、工場長を含む家族全員を拉致したうえで、犯行に及んでいた。
 報告した警備班の大熊博文領事は「手口からみて工場の警備システム、社員の生活状況等を入念に調査しているようだ」と分析。企業から被害届があった後、警察関係者に今後の防犯対策について尋ねたところ、この種の犯罪は防ぎようがないときっぱり言われたという。
 これに対し、赤阪総領事は「日本企業関係者に警察不信を抱かせることにもなりかねない」との懸念を表明し、「近く州警に帰国あいさつに行く予定があるので強く申し入れたい」と約束した。
 会議ではこのほか、サンパウロ市内から観光地カンポス・ド・ジョルダン、カラグァタトゥーバに向かう際に多用されるゴヴェルナドール・カルヴァーリョ・ピント自動車道(一〇五、一〇六、一〇七キロ地点)で最近強盗が頻発しているとの報告もあった。
 コンクリート片などを投げつけ、タイヤやフロントガラスを破損させ停車したところを襲う手口が目立つため、「やられてもその場に立ち止まらず、車が動く限り、安全な場所まで走り続けることが大切」と大熊領事は指導した。
 また、サンパウロ市旧市街を中心に空きビル占拠運動が三千人規模のホームレスらによって展開されていることから、「不法占拠ビル周辺で夜間の強盗などが増えている」とし、「できるだけそばに近づかないように」と注意を喚起した。
 大熊領事は会議の中で、「総領事館に『何ができるか』と思われるかもしれないが、被害にあったら泣き寝入りせずに領事館まで報告願いたい」と繰り返し呼びかけていた。
 会議には日系三団体、商工会議所、日本政府の出先機関、日本人学校などから担当者が出席した。