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ブラジル国籍者 日本行きに米国ビザ=多発テロの余波=JAL便で30人足止め=暫定的に60日間

8月5日(火)

 一昨年九月に起きた同時多発テロ以降、国内警備を強化しつつあるアメリカは二日、通過の際にはビザを必要としない「ビザなし通過プログラム」を廃止、日本は対象とならないが、ブラジルを含む多くの国がトランジット(乗り換え)でもビザの取得を義務付けられた。国土安全保障省が発令したもので暫定的に六十日間の期限となる。三日夜にサンパウロ・グアルーリョス空港を出発する日本航空(JAL)で日本に向かおうとした日系ブラジル人のうち、約三十人がアメリカのビザを持っていなかったために足止めを受けていたことがニッケイ新聞社の調べで分った。サンパウロ総領事館では「日本に向かう前にまずアメリカのビザを取得して欲しい」と話している。

 TWOVの略称で知られる同プログラムは、一九五二年から旅行者の便宜を図ろうと実施。従来、日本に向かうデカセギ労働者は、日本でのビザさえ取得すれば、ヴァリグの経由地であるロサンジェルスやJALの経由地となるニューヨークなどで、乗り換えが可能だった。今後はブラジルに帰化した日系人もアメリカのビザを必要とする。
 サンパウロ総領事館がアメリカのサンパウロ総領事館に電話で照会したところ、今月二日からアメリカ国内の乗り換えだけでも「トランジットビザ」か「観光ビザ」のいずれかの取得を義務付けられたという。日本などビザ免除プログラム対象国の国民は例外だが、南米ではブラジルやアルゼンチンなどいずれも対象となる。
 トランジットビザは、三カ月有効で、一回限り入国可。発行手数料は二十米ドルとなる。一方、観光ビザは十年間有効で、手数料なし。いずれもアメリカのサンパウロ総領事館で取得できる。ただし、最近ブラジル人に対する観光ビザの薄給が厳しくなってきたため、ビザを手掛ける日系旅行社では「アメリカの総領事館の対応を待つしかない」と話す。
 制度変更後、初めての日本行きとなった三日夜のJAL機では、ビザを取得していなかった約三十人が出国できなかったが、一方で先月二十四日までに発券された航空券を持っていた日系ブラジル人は、出国できたと言う。JALサンパウロ支店は「先月二十四日までに発券され、八月九日までにアメリカに入る場合はビザなしでもトランジットできるとの情報がある」としている。
 同支店には、搭乗できなかった客からの問い合わせもあるというが大きな混乱はなく、「アメリカの制度の問題として理解してもらえた」と話す。現在、欧州周りで日本に向かう便など今後の対応についても検討中だ。
 日本でのビザを発給するサンパウロ総領事館査証班によると、アメリカ側の制度変更を受け、週明けの四日朝にビザを求める日系ブラジル人の数は大幅に少なかったという。通常ならば約八十人近くが待合室をにぎわすが、この日朝は約二十人ほどが列を作っただけだった。