8月6日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙五日】国家公務員が六日に予定している年金改革反対デモの混乱を避けて政府は四日、下院本会議での年金改革表決を五日へ前倒し急きょ決行することにした。四面楚歌の中の政府与党の劣勢ばん回と、表決予定日の六日に予定されている公務員デモの裏をかくために抜き打ち表決が決定された。公務員代表も裏をかかれまいと議会周囲に急ぎ、表決妨害のため運動員を配置する予定だ。
下議四百人が首都に滞在しているので、すぐに登院を招集すれば抜き打ち表決は可能だと、ルイジニョ下議(PT)の陣頭指揮で五日の下院本会議が準備された。本会議予定日は六日であったが、公務員組合が、四万人規模の大型デモを表決当日に向けて準備している。混乱を避けるため政府は、前倒しを決定した。
行政府は、年金改革案可決のために議会工作を始め、交付金の優先権と役職の分配をしている。交付金は、十一日から解除される。二〇〇二年度予算の残額は、総額で二十億レアル。十二億レアルは下議と上議へ、各議員は三回に分割交付される。八億レアルは議員の地元州へ、一人当たり二百万レアルを地元州の公共事業へ交付する。
役職の配分では、特にPMDBへの次官補佐二十人の公約遂行が遅れていることで、PT人事部のペレイラ長官が担当する。まず候補者の素質や実力、忠誠度が試され、本会議第一次投票の後に就任決定とされる。PMDBは九月初めの内閣改造で、二閣僚の入閣も期待している。PTBとPLも閣僚席を要求したが、年金改革の可決後になる。
改革案の可決は、議席五百十三人のうち、五分の三の三百八人の賛成票を得る必要がある。政府与党は、必要票を九十二票上回る四百の賛成票を獲得できると踏んでいる。ただし大幅修正された改革原案について、大統領が異議を唱えないことを前提とした票数予測だ。党本部は連立与党の各議員へ確認電話を入れて、大統領へ報告している。
反対票を投じると予想されるのは、PT過激派の三人とブリゾーラ氏のPDT、PMDBとPP、PTBの一部議員とみられている。野党のPFLとPSDBは半数が賛成票確認済みで、百二十九票を獲得。PSDB票は、州知事らの支援が大きく影響している。
最終的に修正された改革原案では司法官の給与上限が九〇・二五%へ引き上げられるのを、大統領は改革の意味がなくなると強く不満を表明している。
そのほかの修正は遺族年金千五十八レアル以下は全額支給。以上は超過分に対し三〇%までの減額。定年後も勤続の場合、一一%の負担金徴収は行われない。未登録の従業員や非勤労者も、八%の年金掛け金を十五年間納入すれば、一最低賃金の年金を受領できるなどが、新たに盛られる。