ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | 年金改革が下院通過=賛成358票、反対126票=抵抗勢力説得し未明に表決=修正に修正加える

年金改革が下院通過=賛成358票、反対126票=抵抗勢力説得し未明に表決=修正に修正加える

8月7日(木)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙六日】下院本会議は六日未明、年金改革修正案の第一次投票を賛成三百五十八票、反対百二十六票、棄権九票で可決した。政府は五日午後、残り少ない時間で最後の説得工作にかけた。司法官給与の上限を七五%から八五・五%に引き上げ、統一中央労組(CUT)の要求で全額年金供与を二千四百レアルまでに引き上げ、年金からの負担金徴収を千二百レアル以上へ引き上げるなどの修正に、政府は応じた。

 年金改革案の第一次投票は、必要数を五十票上回って無事可決した。棄権票を投じた九票のうち、八票はPT所属の下議であった。同改革案は修正に修正を加えられたが、二回の難関をようやく突破した。
 議場周囲には多数のデモ隊が押しかけ、軍警に議場乱入を阻止された。PTの旗を焼き捨てるなどの示威活動を行った。下院本会議に先立ち個別の工作が、プラナウト宮と下院の間で七時間にわたり行われた。下議らは最終的に、何がどう決まったのか分からないまま審議を開始した。
 大統領も司法官の給与上限を、七五%で執拗にねばった。表決された改革修正案は、主に次の内容であった。
 【全額年金】現役と新規採用の公務員は最終職に十年以上、公務員として二十年以上勤務。年金掛け金を男性は三十五年、女性は三十年納入し、年齢が男性は六十歳、女性は五十五歳に達していること。この条件を満たさない場合、納入した掛け金の平均で算出。
 【負担金徴収】年金千二百レアルを超過した分に対し一一%。今後定年退職する場合は二千四百レアルを超過した分に対し徴収。
 【年金調整】現役の公務員が全額年金を享受する場合、現行法が適用される。全額でない場合は、インフレ指数で調整される。新規採用の公務員には、インフレ指数調整はない。
 【給与上限】国家公務員の給与上限は、一万七千百七十レアル。州公務員の上限は、その部門最高の八五・五%を上限とする。
 【年金削除】公務員年金が二千四百レアル以上の場合、超過分に対し五〇%を削除される。
 【負担金上限】官民同様に、二千四百レアルまで負担金を納入、それ以上の年金は補足年金基金へ掛け金を支払う。
 司法官給与の上限設定には多大の圧力があったが、当初の最高裁判事の給与に対する七五%を八五・五%へ引き上げ、一万四千六百八十二レアルで可決した。しかし、司法官協会(AMB)は最高裁へ違法として提訴するという。現行法は九〇・五%であり、五%の差は数字では小さいが違憲では大きいとしている。