8月7日(木)
去る七月二十七日から二十九日付までの中国新聞(日本の広島県を中心とした中国地方の地方紙、本社広島市)は、今年のブラジル日系共同体の最大ニュースの一つと目される戦後移民五十周年祭、広島文化センター(広島県人会会館)完成式典、藤田雄山広島県知事の来伯を大きく扱った。同紙の提携紙であるニッケイ新聞の堀江剛史記者、古杉征巳記者が送信した記事であった。両紙は、提携紙としての実をあげた。
中国地方の読者に紹介された中国新聞の記事は「知事らサンパウロ着、開拓先没者慰霊碑に参拝」(二十七日付)、「ブラジルとの交流 発展誓う、日本人戦後移住五十年式典、広島県知事も出席」(二十八日付)、「ブラジルの県人会に新拠点、広島文化センター完成、交流の懸け橋三百五十人祝う」(二十九日付)、「古里は『県人』見捨てなかった、ブラジルに広島センター、3世代感謝と夢と」(二十九日付)。
藤田知事は四回目の訪問。慰霊碑で「今回はアマゾンのトメアスー移住地を訪れ、祖父の大原博夫(元知事)が、五六年滞在した民家にも行ってみたい」と語っている。
文化センターの設備については、全床面積千四百三十六平方メートル、二百六十人収容の多目的ホール、宿泊室十二、図書室、原爆パネル写真の展示スペース、球技コート、柔道・剣道道場を持つ総合文化体育施設と紹介。特筆ものは総工費で、一億八千万円、県や経済界が八〇%を支援したと強調された。
センター完成式典に出席した人たちのなかから、谷口家の三世代のコメントを引き出した。谷口範之さん(七八、広島市西区観音本町から五七年移住、パラー州ベレン近郊に入植、六〇年サンパウロ市に転住)「センターは母県からの多大な資金援助でできた。いい加減な運営は許されません」、二女乙美さん(四九)「こどもらに日本の言葉や歴史を教えてほしい」、孫ヒデキさん(一八)「(祖父母について)船に乗って地球の反対側に来て、働くなんて、すごい」。