ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | 小切手税収の一部を州に=知事5人大統領と交渉=21%州、5.3%市へ=年金改革協力の代償求める

小切手税収の一部を州に=知事5人大統領と交渉=21%州、5.3%市へ=年金改革協力の代償求める

8月9日(土)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙、フォーリャ・デ・サンパウロ紙、フォーリャ・オンライン八日】税制改革案について交渉するために選ばれた州知事代表団五人が八日午前、ブラジリアのプラナウト宮でルーラ大統領との会談に入った。六日、下院の一次表決で年金制度改革案が可決されたが、知事たちは、「可決に至ったのは我々が支持したため」と政府側に詰め寄り、代わりに金融取引暫定納付金(CPMF。通称、暫定小切手税)の徴収分の一部を州に回すなど、税制改革案の修正を要求した。

 州知事代表は、南東部代表のアエッシオ・ネーヴェスMG知事(PSDB=社会民主党)、中央西部代表のマルコーニ・ペリーロGO知事(PSDB)、南部代表のジェルマーノ・リゴットRS知事(PMDB=民主運動党)、北東部代表のヴィウマ・ファリーアRN知事(PSB=社会党)、北部代表のエドゥアルド・ブラーガAM知事(PPS=社会主義人民党)の五人。
 州知事側が要求している税制改革案の修正内容は次の通り。
 (1)CPMFの総徴収額の二一%を州に、五・三%を市に回す。これは、年間約六十三億レアルに相当する。
 (2)燃料の売上高にかかる経済支配介入納付金(Cide。燃料税)の総徴収額の二五%を州に回す。年間二十七億レアルに相当する。
 (3)商品流通サービス税(ICMS)が輸出商品に対してのみ無くなったため、その損失分を補うファンドをつくる。州は年間八十五億レアルを要求している。
 (4)保健面や教育面などに最低限の予算を回すといった州予算に関する憲法での義務事項をなくし、州予算の二〇%を自由に使えるようにする。
 (5)公務員財形計画(Pasep)を連邦政府に支払うという州の義務事項をなくす。これによって、連邦政府は年間二十五億レアルの徴収分を失うことになる。
 知事代表団は八日午前、ルーラ大統領に圧力をかけるため、大統領との会談の前にジョアン・パウロ・クーニャ下院議長(PT=労働者党)とジョゼ・サルネイ上院議長(PMDB)の二人と会談した。知事らは、政府が強硬な態度をとっても受け付けず、場合によっては国会で最後まで戦う意思を明らかにした。
 知事らとの話し合いの後、サルネイ上院議長は、「年金改革案は社会問題であり、州の管轄ではない。だが税制改革案は、州や市に関する内容が多く盛込まれているので、上院で税制改革案の修正させるつもりだ」と、知事らを支持することを表明した。上院から修正命令が出ると、再度下院に戻される。
 一方連邦政府側は、燃料税の徴収分を州に回す姿勢は見せたが、小切手税に関しては〃連邦だけの税〃という態度を強調し、妥協する意思はないと言明。現在のCPMFは年末、課税率〇・〇八%になる。税制改革案可決後には金融取引納付金(CMF。通称、小切手税)となり、永久的に〇・三八%が課税される。また、ファンドの創設には反対しなかったが、現在州に回しているICMS徴収分六十億レアル以上は支払えないと主張している。
 八日午後四時三十分ごろの情報では、知事らとルーラ大統領の会談はまだ終わっていなかった。会談は同日中に結論に達する予定でいる。