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子育てする新世代の父親=積極的に〝母親役〟引き受ける=分娩、授業参観に参加

8月9日(土)

 【エポカ誌四日】八月の第2日曜日は「父の日」。それにちなんでエポカ誌は、「新世代の父親たち」という見出しの記事を掲載した。新世代の父親とは、「子育てに積極的に参加していく父親たち」のこと。サンパウロ市のサンルイス産科病院で行われた分娩の八割は父親も立ち会う。今の父親は、昔のように分娩室の前で待ち続けるだけでは満足できず、自分も参加したいと考えているという。「女性の職場進出が増え、家政を夫婦で分業するなど、家庭内で夫婦が同等の役割をするようになった」と、カルロス・シャーガス財団の調査員で社会学者のサンドラ・ウンベハウムさんは説明している。

サンドラさんは、サンパウロ市ピニェイロス区やヴィラ・マダレーナ区、モルンビー区など、中流階層の人々が多く住む地区で、十歳までの子供がいる家庭を対象に、父親像の調査を実施した。「すべての父親が、『自分は自分の父親とは違う』と強調した。子育てに積極的に参加し、強いきずなをつくろうとしている」と、サンドラさんは結論を述べた。
 ロック歌手のリッタ・リー一家の家族構成は、新しい父親像の象徴とも言える。作曲家でギタリストの夫、ロベルト・デ・カルヴァーリョさんは、同家の父母像を「自分は〃半分母親〃の父親で、リッタは〃半分父親〃の母親である」と表現する。
 長男のベットさん(二六、本名ロベルト)は、「母は子育ての〃大変な部分〃が苦手だったので、父が代わりにやっていた」と話す。
 〃大変な部分〃とは、子供3人のオムツの取り替えや入浴、小児科医での検診、PTA会議に出席すること、など。ロベルトさんは、「子供たちに、彼らを心から愛し、尊敬している父親像を見せることができたと思う」と誇らしげだ。
 息子3人は父親を見習って音楽の道を歩んでいる。ベットさんが子供のころ、学校で両親の仕事を語る授業参観があった。「医者の親は、医学の本や聴診器を見せたけど、うちの親父はギターとアンプを持ってきて、教室の中でロックを演奏したんだ。友達から『君のお父さん、面白い仕事してるね』と言われた。最高だったよ!」と笑顔を見せた。
 だが、すべての新タイプの父親たちが、思うように子供と過ごせるわけではない。サンドラさんは、社会が父親の子育てをよく思っていないことを指摘。「職場では、父親が仕事を休んで子供を医者に連れて行ったり、PTA会議に参加するために早退したりするのを受け入れてくれない」と説明している。
 サンパウロ州カトリック大学(PUC)のネイデ・ノフス教授は、「夫婦仲が良く、家族の触れ合いを大切にする環境は子供に非常に良い。精神的にバランスのとれた、自信のある、優しい子供に育つ」と小児心理学の視点で語る。
 心理学者のロザーネ・ランデマンさんは、「新世代の両親は、父親が子供の成長に重要な役割があると説いている最近の心理学や教育学をよく知っている」と言明。「男性と女性の人生観は異なる。子供たちは、大人になった時に多くの試練に立ち向かえるよう、父親と母親を通して違う人生観を学ばなければならない」と父母両者の子育て参加の重要性を訴えている。