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官民プロジェクトが始動=大豆回廊工事始まる=積極的な麻州生産者=民間の胎動に成長の兆し

8月12日(火)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十日】ルーラ大統領は九日、国道のインフラ整備で積極的に民間の活力を起用する計画を明らかにした。マット・グロッソ州では大豆生産者が、率先して大豆運搬用道路を三千キロにわたり整備。ミナス州ではアルコール業者が、流通税減税と引き換えに二百七十六キロのアスファルト舗装を引き受けた。政府は二〇〇四年に経済成長へ向けたインフラ官民投資計画を準備しているが、成長へ向けた胎動に発展の感触を得ている。

 マット・グロッソ州ノーヴァ・ムトゥン地方、大豆生産者の鼻息は荒い。ヘクタール当たり四・二トンの国内最高の生産性を達成し、さらに同地方から国道一六三号線への大豆回廊整備に取り組んでいる。これは同州政府の州道舗装の要請に、生産者が快諾したもの。生産者は次期収穫を抵当に銀行から長期融資を受け、整地と工事、ジーゼル油半分は生産者が負担する計画となっている。
 これは先に大統領が提唱した民間の活力起用による官民共同のインフラ・プロジェクトの先発とみられる。工事開始が先になり、青写真が後になった。政府は十一日、下院へ六百億レアルに上るインフラ整備投融資案を上程する。約半分の三百億レアルを民間から引き出すものだ。
 マット・グロッソ州の大豆生産者は、三千キロの舗装整備にも挑戦する意気込みで、まさに経済成長の真骨頂だ。同州生産者協会は、インフラ整備のために基金を創成した。協会員の中には、乗用車を売却して基金積み立てに協力する人も多い。生産者協会が州政府から引き受けた新規道路は十カ所、一カ所はすでに工事を開始した。運搬費の節約とともに地価の高騰にもつながると地元は期待している。
 ブライロ・マジ同州知事は、生産者とパラー州政府、マナウス経済特区の業者に呼びかけ、同州の北グアランタン市とパラー州のミリチツーバ市を結ぶ七百三十キロの舗装整備とミリチツーバ市とサンタレン港間の道路開設も了承させた。
 これでマット・グロッソ産大豆は、サンタレン港へ運び出す宿願のルートが完成することになる。またマナウス経済特区へ到着した部品を、中央南部などへ空輸していたのが陸送できることにもなる。
 ミナス州の三角ミナス地帯のサトウキビ生産者とアルコール生産者が、十二郡を結ぶ州道二百七十六キロを八千万レアルを投じて舗装する。アルコールは大豆に比して生産が伸び悩んでいるため、流通税(ICM)からの割引方式で行う。生産者は基金を創設して、資金の流用を防ぐ考えだ。
 官民共同出資によるプロジェクトは、英国やイタリア、チリなど五十カ国で、十年前から実施している。これは民営化や権益授与と異なり、国の戦略的事業への民間資本による専横を封じ、民間活力の起用を試みるものとされている。