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先住民の持つ独自の世界観=西欧哲学に一石=カストロ教授が発表

8月12日(火)

 【フォーリャ・デ・サンパウロ紙】「哲学は常に想像上の野性人を思い起こさせる伝統がある。今は現実の野性人を扱うべき時だ」―。文化人類学者、エドゥアルド・ヴィヴェイロス・デ・カストロ教授(五二)はリオデジャネイロ連邦総合大学(UFRJ)大学院社会人類学の講義「神話と哲学」で述べた。「野性の思考」が(文化人類学がすでに明らかにしたように)我々の社会と同様に複雑なものであるだけでなく、西洋人が常に自分の専売特許だとみなす哲学の次元に到達し、それを問題視できると同教授は提案する。

 文化人類学者、レヴィ・ストロース氏の弟子かつ同僚で、同氏が「ブラジルの文化人類学を世界レベルに押し上げ、新学派を創立した」と評価するカストロ教授は、「考え方のものさし」を西洋人に与えるインジオを出発点とする。「(著書)『野性の思考』の中でレヴィ・ストロース氏は、野性人の思考がどの地点で科学の一種になるかを問題として示した。それは単なる別の解釈にすぎないのかもしれないけれども」と同教授は話す。
 インジオは自分たちの世界観に問いかけつつ、それを概念化できたとされている。西洋哲学のように体系立てられた教えを授からなくても、インジオは哲学を持っていたと同教授は強調する。
 アメリカ原住民に共通した世界観はカストロ教授の著書、「野性の魂の移ろい」(Cosac&Naify)で紹介されている。「自然」と「文化」の概念を考察すると、インジオたちは我々とは逆の方法で世界について思考をめぐらせているかのようだ。西洋的思考が、自然は普遍的なもので文化は個別的なものだ(ただ一つの世界と様々な生活様式が存在する)とする思考基盤を有する一方、アメリカ大陸の原住民たちにとっては、ただ一つの文化つまり世界観と観察者の視点に左右される個別の自然が存在する。
 人間と動物はこうした文化においては常に主体となる。つまり、インジオにとってすべての動物は自分たちと同じ習慣を共有する(した)。
 主体になるためのただ一つの方法は、生き物がその場で成立した関係に従って、自然を変えることによる。例えば肉食動物や精霊は人間を「獲物」とみなす。一方、インジオが狩る獲物は人間を肉食動物や精霊とみなす。インジオたちを人間でないものとしてみる時、動物たちは自身を人間とみなしているとインジオたちは考える。
 「アメリカ原住民の世界観に特徴的な、こうした態度を紹介するために私が採用した方法は、西洋哲学の伝統を引き継いだ言葉で規制されたものだ」。同教授は、インジオたちは自然や文化の概念を即座に解釈する言葉を持たないと話す。「インジオの神話学や民族誌学の言説には、こうした言葉でほとんどが解説可能な定式がある。インジオの思考は無意識の領域にしかないと記す際には注意が必要だ」。インジオは哲学的問題に取り組む能力を有し、インジオの思考の多くが完全に明晰で筋だったものであることを同教授は再度強調した。
 同教授は、アメリカ原住民の諸概念が体系立てられた哲学に疑問を投げかけることができると述べる。UFRJでの講義内容は「すべての事物の越境」(仮題、Cosac&Naify)に収録され、年末までに出版される。