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汎米大会で日系大健闘=卓球オヤマ選手=通算金8とブラジル最多

8月12日(火)

 日系選手が次々に表彰台に――。現在ドミニカ共和国のサントドミンゴで開催中のパンアメリカン大会で、ブラジルは十七個(十一日午後現在)の金メダルを獲得。八日に行われた卓球ダブルスでは、決勝でウーゴ・オヤマとチアゴ・モンテイロ組がグスタボ・ツボイとブルーノ・アンジョス組が対戦。日系人が金銀両メダルを獲得した。また、十日の女子柔道では金メダルに期待がかかった、石井ヴァニアが決勝でキューバのゴンザレスに惜敗。父、千秋さんに「父の日」のプレゼントを贈る願いは叶わなかった。
 オヤマ組はツボイ組を四対一のセットスコアで下し、金メダルを獲得した。自身五度目の出場となるオヤマは、過去の大会で個人・ダブルス合わせて七つの金メダルを獲得。今回の優勝でブラジル人としては最多となる八つの金を得たことになる。「多くの人が、僕に期待していなかった」と三十四歳のベテランの意地を見せた。
 オヤマは個人でも金メダルを目指す。
 また、銀メダルに終ったものの弱冠十八歳のツボイも健闘。昨年十二月のジュニア世界選手権決勝大会で世界第三位、今年二月のエジプトでの予選大会でも優勝し、パウリスタスポーツ賞を受賞しているツボイは、今後に期待がかかる。ツボイのコーチで卓球コメンテーターのマルコス・ヤマダさんは、やや人気が低迷する卓球にスポットライトが当たることを喜ぶ。「オヤマに比べると経験が足りなかった。でも日系人がメダルを分け合うのは素晴らしい」と話していた。
 「父の日に金メダルを贈りたい」と前回九九年のウイニンペッグ大会(カナダ)に続く優勝を目指した石井ヴァニア(三〇)は、ブラジル柔道界に初の五輪メダルをもたらした石井千秋さんの三女。四歳で父や姉タニアさんの後を追うように柔道を始め、数々の国際大会で優勝。シドニー五輪にも出場している。
 ゴンザレスとの女子中量級決勝を前にヴァニアさんは「父である以上に、私にとっての彼は一人の師匠。金メダルを贈れた前回大会同様に、今回も父に金を捧げたい」との意気込みを見せていた。
 自宅でテレビ中継を心待ちにしていた千秋さんだが、残念ながら中継はなかった。千秋さんによると、ゴンザレスは審判の「やめ」という声の直後、不意をつくように足払いをかけ、一本を奪ったという。「娘の調子はよかったので、優勝できるの思っていた。キューバ選手は荒いので気をつけるようにいっていたのですが」と分析した。
 試合後、涙ながらに千秋さんに電話連絡したヴァニアは「調子よかったのに悔しい。油断があった」と話していたという。
 試合はゴンザレスが一本勝ちに終わり、惜しくも銀メダルに終ったが、ブラジルは男子がルイス・カミーロとフラヴィオ・カントの両選手が金を獲得。また女子も日系のファビアーナ・フクダらが二つの銅メダルを獲得し、前回を大きく上回る成績を残している。ブラジル柔道界の強化に関わってきた石井さんは「近年、支援態勢の充実と共に特に男子が強くなっている。まだまだ金メダルが取れるはず」と期待を込めた。
 大多数を日系選手で構成し、イビウーナ市のヤクルト野球アカデミーの佐藤允禧校長が率いる野球も、グアテマラに八対〇で大勝し、キューバで行われる世界選手権への出場権を獲得した。