韓国と北朝鮮を比べて米国のブッシュ大統領は「人工衛星から夜の朝鮮半島を写真に撮れば、南は眩い。北は真っ暗だ」と語ったのは昨年のことだ。アメリカの調査研究機関の推定だと、北朝鮮の発電量は十年前の三割に落ち、工業生産力は五分の一になっている。停電は日常茶飯事だし食糧の不足も深刻。俗っぽい言い方をすれば、国民たちは「食うや食わず」の日々を送っている▼なのにー。金正日総書記と取り巻きは、核兵器と弾道ミサイルを武器に恫喝と瀬戸際外交を展開し「強国」への歩みを進もうとしている。日本との関係では拉致事件もある。原爆の恐ろしさは世界で唯一の被爆国である日本の広島と長崎が誰よりもよく知っている。アメリカの核もロシアの核も怖いのは怖い。が、隣の北朝鮮が開発すれば、これはもう恐怖以外の何物でもない▼広島の市長さんは五十八回目の原爆忌に金正日総書記を呼ぼうとして招待状を送ったそうながら、どうやら返事もなかったらしい。映画と芸人が大好きな首領さまと耳にするけれども、核兵器の猛威と怖さへの自覚も併せ持って欲しい。国民の飢えも、気候や水不足と言うよりは国家体制から生じているの観測が根強い。それと「コメ支援」ももう効かない▼韓国と北朝鮮との間にあった体制の争いには、とっくに勝負がついている。半島を東西に伸びる境界線を見るまでもなく北は闇、南は煌々たる光が満ちている。核をと脅かしてはいるが、北朝鮮の国力は低下し国民を苦しめ闇ばかりを深めていると見て間違いない。(遯)
03/08/12