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フラガ前中銀総裁 ブラジルは眠れる獅子=経済成長は自力で

8月14日(木)

 【ヴェージャ誌】アルミニオ・フラガ前中央銀行総裁(四六)は退官後、ガヴェア投資顧問を開業し、証券取引所とゴルフ場の間を往復する優雅な日々を送っている。自宅の書斎にくつろぐ同氏に新政権の政策について質問した。 
 【同時占拠と司法官との摩擦が、国際金融に及ぼす影響は】政府は、もっとぎぜんとした態度が必要。新政権の滑り出しもマクロ政策も良かったが、ブラジルは伝統的に事業の難しい国でミクロ政策に問題がある。非能率的な官僚主義、複雑な税制体系、占拠運動と司法制度など、国際金融に不安材料を提供するものばかり。体制の整備が急務だ。 過去十年の歴史を振り返るとメキシコから始まり、アルゼンチンまで数々の経済危機の影響を乗り越えてきた。ブラジル経済が生産性を上げて抵抗力を養った証拠だ。今はリセッションを国民は肌に感じているが、新政権は景気後退を解決できると信じている。
 景気回復と経済成長は異なる。景気回復は中銀が基本金利を下げれば、市場が活気を取り戻す。経済成長には投資が必要だ。投資がなければ経済は酔っ払い、そして二日酔いで寝込む。
 【九〇年代のような外資の波を呼び込むには】九〇年代の直接投資は、公社の民営化とブラジルの市場開放の代償であった。年間三百億ドルの海外投資を期待するのは、非常に難しい。現在は世界的に、海外投資が停滞傾向にある。海外投資には、一定のサイクルがあることも認識すべきだ。
 【借金依存体質のブラジルに海外投資が途絶えたら】ブラジルにとって深刻な問題は、海外投資の途絶ではない。国内資本が短期投機に走り、工場の建設や新式工作機の購入、雇用創出につながる人材育成、住宅建設などの長期投資を行わないことが問題だ。これが経済成長への投資。海外投資を呼び込むなら、投資環境の整備も必要。  
 【国際投資家の注目する国は】ブラジルと中国、インドの三カ国が、有望で大きな市場。ブラジルはカントリー・リスクを低減したら、最も有望な市場。ブラジルは、政治的に不安定な国とみられている。海外投資を当てにしないで、ブラジル人自身が貯蓄をして投資を奨励する必要がある。
 【ブラジルの魅力は】ブラジルの産業は、八〇年代から多部門に行き渡った。経済成長の基本的条件が、出来上がった。あとは生産性の向上と再投資で経済を盛り上げて行くだけだ。ブラジルは二十世紀、世界経済に振り回されず独力で短期間に成長してきた。
 それが債務履行で四苦八苦するのは、経常収支が火の車だからだ。市場をさらに開放すると、国際相互関係が進展し為替問題も、自動的に解決する。
 米国以外、日本もEUも市場開放では極端に視野が狭い。米国は米州自由貿易地域(FTAA)構想で、米伯間で障壁となっていた補助金制度や関税外障壁を廃止して市場開放のモデル・ケースを構築すると信じる。これがきっかけとなって日本もEUも門戸を開き、完全自由化の新時代が到来するのではないか。同時にブラジルの国際的地位も、向上するのではないか。