8月15日(金)
この十年間でデカセギ子弟が起した犯罪はなんと四十倍に激増し、あっという間に外国人少年犯罪の過半数を制して日本国民を震撼させている――。恐ろしい統計が警察庁から発表された。中でも、デカセギの五人に一人が住むといわれる集中地帯・愛知県に代表される中部地方においては、戦慄の数字となった。この地方だけで日本全体の外国人少年犯罪の約半数が発生し、その九割がデカセギ子弟によるもの…。目を覆いたくなるようなこの統計は、デカセギの功罪を改めて問い直している。
先頃、警視庁から発表された『国際組織犯罪対策(来日外国人犯罪の現状)』平成十四年版には様々なデータが列記されている。昨年、二〇〇二年の大人の統計である国籍別検挙状況では、首位は中国(台湾、香港を除く)で一万二六六七件(36・5%)、二位はブラジルで五二七二件(15・2%)、三位はトルコで四三六六件(12・5%)と、在日ブラジル人は不名誉な二位を任じる。
最も社会のゆがみが反映しやすいと言われる少年層にいたっては、けた違いな様相を呈する。〇二年の来日外国人少年刑法犯の国籍別検挙状況ではダントツ首位がブラジルで一二五九件(65・1%)、二位の中国(三一五件、16・3%)、三位のフィリピン(一三七件、7・1%)を大きく引き離している。
つまり、来日外国人少年犯罪を牽引しているのは、デカセギ子弟であり、本邦の治安悪化に大きく〃貢献〃している。
問題なのは、この傾向が年々拡大している点だ。デカセギ・ブーム真っ最中だった九二年、来日外国人少年犯罪におけるブラジルの割合は12・2%(わずか三二件)に過ぎなかった。しかも、検挙人員は十七人で、一人当たりの件数は一・九件だった。この十年間で、件数にして三九・三倍も激増し、検挙人員も二一・二倍(三六一人)で、一人当たりの件数は三・五件となった。
これは犯罪が常習化して数件もの容疑で検挙されたか、犯罪が多すぎて警察が検挙しきれずに検挙人員が伸び悩んでいるかということだが、どちらにしても状況は最悪だ。
九二年の同少年犯罪のトップは中国で三四件(13・0%)だったが、翌年にはあっさりブラジルに首位を明渡し、十年後では件数にして三一五件(二位、16・3%)と九・三倍しか増加していないことからしても、ブラジル少年の急激な悪化ぶりが伺える。
驚くのはまだ早い。地域別にみると、さらに戦慄の数字が並ぶ。
発生地域別検挙状況によれば、全犯罪数の約半数(45・1%)を占める中部地方の総検挙件数八七二件のうち、ブラジルは実に89・4%(七八〇件)を占める。二番目に多い関東地方の五四六件のうち、ブラジルは43・6%(二三八件)、三番目である近畿地方の二九七件のうち、ブラジルは75・1%(二九七件)となっている。この三地域で日本全国の外国人少年犯罪の88・7%、約九割を占め、そのうちの72・4%はブラジル少年だ。
デカセギ子弟は来日外国人少年犯罪の牽引車として、大きくその負の存在感を統計に記している。大人の都合で連れていかれ、日本社会に適応できずに非行から犯罪へ進む彼らの存在は、デカセギという大きな潮流の功罪を深く問いかけている。