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「草の根」予算50%増加=サ総領事館に申請相次ぐ=今年から名称を変更=伯への支援額 南米で二番目

8月16日(土)

 最近よく耳にする「草の根」といえば日本政府による無償資金協力だ。その正式名称が今年度から「草の根・安全保障」に変更、予算額は前年度比で五十%増の百五十億円となった。五年前から対象国のひとつに数えられるブラジルは現在、中米・南米諸国のうちボリビアに次ぐ恩恵を受ける。こうしたなか、サンパウロ総領事館には昨年を上回るペースで援助申請が相次ぐ。予算額の大幅増でさらなる支援が期待できるか。これまでの経緯などを含め経済班の上田達生副領事に聞いた。

 開発途上国の援助ニーズに応えるため一九八九年に導入された制度がこの「草の根」。保健・医療、基礎教育、民生・環境などの分野が支援対象とする。
 リサイクル草の根(日本で使用済みとなった消防車・救急車などを供与する際の輸送費支援)、対人地雷関連活動支援(地雷除去活動、被災者への支援)がこれに加わったことが、予算増加に繋がった直接的な理由だ。
 「ODA予算は今年度、前年比で五・八%減少している一方、こちらは年々増加傾向にある」。導入時の予算額はわずか三億円。それが十五年間で五十倍に伸びた。
 サンパウロ総領事館は今年度、管内のNGOや地方政府などから申請のあった十二件のプロジェクトを支援する。予算は合わせて約六千万円。
 「協力した事業に対してはその後、フォローアップの責任もある。いまの人員を考えると十二、三件というところが限界。数ではなく、あくまでも質の高い貢献できるかどうかを念頭に置いている」と、来年以降も大きな変化がないと強調する。
 ただ、「サンパウロ総領事館の予算枠は特に設定されていませんし、一件当たりの上限である一千万円クラスの契約が相次げば自然に総額は増えるでしょう」とみている。
 昨年、総領事館には三十八件の要請案が持ち込まれた。今年はすでに半年で四十件を数える。ほぼ倍のペースだ。
 「三百六十五日いつでも受け付けている」という点が非援助団体から歓迎されている。政府間で行われる「一般プロジェクト無償」と違って、申請から実施までの期間が短いという特色もある。「当館で半年ほどでしょうか」
 ニーズに迅速に対応するフットワークの軽さが成果につながっている。過去四年間にサンパウロ総領事館が支援したプロジェクトは四十三件にも上る。
 全体の半分以上が「タイアップ」案件とよばれるものだ。この場合、土地は現地側が用意、施設の建設費用を日本政府が請け負う格好となる。
 また、「技師や教師など人材の確保が十分でない」ため、当初の予定通り計画が運ばないケースもある。日本政府の支援で出来た施設が、〝宝の持ち腐れ〟にならないよう留意している、という。
 日系関連の団体では、こどものその、グァタパラ農事文化体育協会、憩いの園、オイスカ・ブラジルといったところが過去に「草の根」支援の対象となるプロジェクトを提出し受理されている。
 「審査においてはもちろん中立を保っていますが、最終的に承認する立場の本省から『日系』を推す声もある。ただ、地域社会に寄与する場合に限ってが条件になります」。