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深刻化する”いじめ”問題=生徒の4割が関係=ふざけとの区別が大切

8月19日(火)

 【フォーリャ・ティーン】学校でののしったり、ののしられたりするのはごく普通だ。見下したあだ名、押しのけ、悪口、「しかと」などなど。誰もがすでにいやな思いを味わい、現場を目撃し、「ちょっとしたふざけ」の犠牲者になったことはある。ただ昨今は生徒や先生に「普通」とみなされるこうした振る舞いが無邪気なものとは程遠くなってしまっている。たいしたことはないと思い、「ボール」や「四つ目」とあだ名をつける生徒は相手がそうしたあだ名にどれほど傷つき、自信を失い、成績を下げるかを考えない。おおげさに考えすぎだろうか? 実はそうではない。

 NGO団体『ブラジル児童青年保護専門家協会(Abrapia)』の依頼で、ブラジル世論統計研究所(Ibope)はリオ市の公私立校十一校に通う五年生から八年生(中学二年)までの五千四百八十二人を対象に、いじめについて聞き取り調査を行った。
 調査の結果、以下のことが判明した。「どんな嫌な思いをしたか」との質問に対する答えは、あだ名をつけて、ばかにし、笑いの対象にする(五四・二%)、押したり、引っ張ったり、けったり、なぐったりする(一六・一%)、脅す(八・五%)、持ち物を壊したり、お金を要求する(四・七%)で、二八・三%の生徒が自分はいじめの対象になっていたと認めた。いじめた生徒も含めると、四〇・五%以上の生徒がいじめに関係したことになる。いじめ被害者の対応は、無視(四九・八%)、自分を守る(一六・七%)、やめるよう頼む(一二・三%)、泣く(八・四%)、大人に助けを求める(四・五%)、逃げた後、学校に行かない(三・四%)。「誰に助けを求めたか」という質問には、誰にも話さない(四一・六%)、友達に話す(二一・三%)、両親に話す(一六・九%)、先生たちに話す(一五・六%)、兄弟に話す(三・三%)。
 「いじめ(英語でいうbullying)」という言葉はブラジルの研究者の間で統一された用語ではないが、ののしり、からかい、暴力、脅迫、仲間はずれ、無視、見下し、差別など、継続して身体的・精神的に攻撃すること、権力を乱用している状態を意味する。Abrapia事務局長のモンテイロ医師は「いじめに苦しむ生徒は対人関係に恐怖感を抱き、社会的に孤立するようになる。そのうちの何人かは不登校になったり、転校しようとしたりして、最悪の場合自殺までしようとする」と警告する。「いじめた生徒ですらいじめた結果に苦しむことになる。なぜなら攻撃的人間になることで将来、家族や職場の同僚を尊敬できなくなるからだ」。
 いじめの約六〇%が教室で行われていることから、多くの場合教師はいじめに気づかない。教師はいじめを子どもたちの普通の振る舞いと受け取ったり、自分がいじめ問題を処理できる能力を持たないと考えたりする。「ふざけかいじめかの区別をつける時が来ている。みんなが楽しんでいる時だけふざけとみなせる。楽しむ生徒がいる一方、気まずそうな生徒がいれば、それはふざけではなく、いじめだ」とリジア・アラタンギー心理専門家は訴える。同専門家はユダヤ人であることを友人に日々ばかにされ続け、宿題を提出したある時、ノートに脂のしみがついていたことを教師がとがめ、「そうそう、ユダヤ人は台所で勉強するのが大好きだってね」と言ったことがきっかけで、学期途中にもかかわらず両親が即刻転校を決断した経験を持つ。
 最後にいじめに遭った場合の対処法を紹介する。【生徒に】▼落ち着いて、いじめる生徒にいじめ行為をやめるよう求める。▼学校か家族の中で話しやすい大人の誰かにいじめられていることを話す。▼大人に話すのが怖いなら、友達に話す。▼いじめられるのは自分のせいだと考えない。【両親へ】▼子どもといじめの状況について話し、子どもにも原因がないかどうか確認する。▼落ち着いて教師たちと話す。▼いじめが続いていないかどうか学校との連絡を保つ。▼教師が十分に対応しない場合、他の生徒の親と連絡を取り、校長や学校理事会にいじめを訴える。

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