8月20日(水)
ゴイアース州のマルシアノーポリス(火星人の都)、ミナス・ジェライス州のレサキーニャ(二日酔い)、セアラー州のネネンラーンジア(赤ちゃん王国)――。世界最大のフランチャイズ店、マクドナルドのブラジル内店舗では、各地の珍名都市を集めたトレイの敷き紙が使われ、話題になっている。デザイナーは日系のヒロ・カワハラさん(三八)。アイデアあふれたヒロさんの活躍ぶりを四日付、エポカ誌が紹介している。
割引商品の宣伝を載せた敷き紙がゴミとして排出される一方、ブラジルのファーストフード店では、楽しく興味深い情報を満載した敷き紙を使用している。人々を引き付けるテーマの大部分は「役に立たない情報」だが、いくつかは、絶滅危機にある動物の取り扱い、英語・スペイン語・フランス語の単語集など、学校の授業で使えそうな教養あふれるものもある。
宣伝的ではない敷き紙は、マクドナルドの会計事務所、ドリオ・タテルカ所長の発案から作られた。広告デザイナーのヒロさんによると、一つの作品を作るのに費やす歳月は三年。通常、テレビを見ている時にアイデアが浮かぶとのこと。また、友人から助言を受けることもある。ヒロさんは現在、約四十種類の敷き紙をデザインしている。
デザインを手懸け始めてヒロさんは、学校の先生や敷き紙収集家らから手紙を受け取るようになった。ある市長からは、「珍名都市特集に我が市を取り上げてもらい感謝している」という手紙をもらったという。
マーケティング部門のターニア・クウビ部長は、敷き紙は毎月取り替えられ、千万枚のコピーが「掲示板」としての役割を果たしているとしている。一九九五年から、地域情報版など百三十種類が作られてきたが、なかでも注目されたのは、一月に第二回世界社会フォーラムが開かれたリオ・グランデ・ド・スル州ポルト・アレグレ市の店舗用に作成されたもの。その敷き紙では、同社の雇用数や納税額、社会的貢献などの正当性を訴えていた。