ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | 老人ホームで高齢者虐待=ベッドに縛り付ける=サンパウロ州検察局が検査し告発

老人ホームで高齢者虐待=ベッドに縛り付ける=サンパウロ州検察局が検査し告発

8月21日(木)

 【アゴーラ紙二十日】サンパウロ州検察局はこのほど、サンパウロ市南部ヴィラ・マリアーナ区の民間有料老人ホーム『カーザ・デ・レポウゾ・ヴィラ・マリアーナ』を、高齢者虐待で告発した。
 市警と検事二人が十八日午後九時ごろ、同老人ホーム七館のうち三館を立ち入り検査した。
 検事らによると、シーツでベッドに縛り付けられているお年寄りを二館で発見。入所しているお年寄りの一人、マリア・E・マデイラさん(五八、主婦)は、直接胃に栄養を送る消息子(ゾンデ)を使用しなければならないが、人工栄養摂取機器は一切見当たらなかった。
 エジソン・A・コスタ検事は、「尿でぬれたままのベッドマットもあった」と驚いていた。ベッドのくぎがマットを貫いているものもあった。ジョアン・E・シウヴァ検事は、「一人用のベッド二台にお年寄りの女性三人が寝かされていた」と証言。検事らはまた、検査された三館を管理している従業員はわずか一人だったと言明している。
 同老人ホームの入居費は月七百レアルから千二百レアルに及ぶ。通常、このような施設が営業停止処分になるのは、営業できる状況ではない場合のみ。この老人ホームは営業停止にはならなかったが、同施設のカッシオ・サラーマ理事長(四二)は、高齢者虐待で起訴された。
 検察局によると、同ホームは一九九四年にも高齢者虐待で告発されていたという。今回の立ち入り検査の映像は、テレビのニュース番組で放映された。
 一方サラーマ理事長は、高齢者虐待の事実を否定している。お年寄りがシーツで縛り付けられていた事実に関しては、「お年寄りが寝ている間にベッドから落ちないように腰を縛っておくのは虐待ではない。精神異常を来しているお年寄りも多いのだ」と説明。
 マデイラさんの人工栄養摂取機がなかった件では、「消息子は患者にとって気持ちの良いものではないから、医師が取ってもいいと言った。それに彼女はもう、口からものを食べられるので、機器をとることにしたんだ」。マデイラさんは十五日にホームに入所したが、娘のカッシア・M・サントスさんによると、マデイラさんが応対の悪さを訴えたことはないという。