8月22日(金)
ブラジル日本都道府県人会連合会(中沢宏一会長)は二十日、パラグアイの邦字紙「日系ジャーナル」を主宰し、海外日系新聞協会長を務める高倉道男さんと意見交換の場を持った。高倉さんが来年六月の参議院選挙に出馬を予定することを受けてのもので、県連からは中沢会長を始め、網野弥太郎前会長や県連幹部らが参加。日系社会の将来像や在外選挙人登録の重要性などについて熱い議論が交わされた。網野前会長は「県人会を八つのブロックに分け、選挙人登録の増加を図ってはどうか」などと提案。今後、県連では数多くの有権者を抱えるサンパウロ市内での登録増加を目指していく方針を固めた。
今年二月に地元パラグアイで支援団体を立ち上げた高倉さんは、ブラジルと米国のロサンゼルスでも支援組織を立ち上げたい、と協力を呼び掛けた。また、県人会の活性化を図るためには、日本と対等な関係を築き県の出先機関の役割を果たすべき、と訴えた。
「在外選挙権への関心をもう一度高めたい」と自らの立候補の目的を説明した高倉さんは現状についても報告。公職選挙法改正で投票権が認められながらも、〇一年の参院選では海外有権者六十万人のうち、わずか七万四千人が登録。投票したのは約二万二千人に過ぎない実態を明らかにした。「身近に関心を持つ候補がいないと登録も伸びない。捨て石になるつもりだ」と高倉さんは最大の有権者を抱えるブラジルでの登録増加の必要性を指摘した。
九八年の公職選挙法の改正に向け尽力した網野前会長は、現在県連内の在外選挙委員長を担当。ブラジルでは有権者七万五千人のうち、登録は一万三千人に達していない現状について分析した。「領事館だけに任すのではなく、日系各団体が協力して登録を手伝う必要がある」と網野前会長は強調。特に、人口が多いサンパウロ市内での掘り起こしを図るべきだと説明した。具体的には「八ブロック別・選挙登録運動」として、全県人会を八つのブロックに分類。各ブロックで年に一回から二回は登録の手伝いをしてはどうか、と提案した。
〇一年から出張領事サービスを実施し、地方での登録増加を目指すサンパウロ総領事館によると、今年七月現在、登録者数は約一万三千人。サンパウロ市やその百キロ圏内では約八千七百人だという。来年の参議院選挙では、従来の郵便投票に加え、公館での直接投票が実施される。同総領事館は「県連が登録増加に向け動くのは歓迎する。協力もしたい」と話している。