8月23日(土)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十二日】中央銀行は二十一日、毎月八億ドル代であったブラジルへの海外投資が、七月から突然十二億四千七百万ドルへ飛躍したことを明らかにした。これは過去七カ月間で最高。今年に入って十億ドルを超えたのは初めて。八月も十一億ドルの海外投資が、流入している。中銀は今年上半期の経済指標が、昨年下半期に比較して好転していることで海外投資家が好感したものとみている。
新政権が就任して七カ月。厳しい緊縮財政と高金利政策のなかで経済の落ち込みにあえいだが、ようやく海外投資の復帰で曙光(しょこう)が見え始めた。六月の海外投資は、わずか一億八千六百万ドルであったので、五七〇・四%の飛躍となった。
中銀は海外投資家が、今年上半期の経済指標でブラジル経済好転と判断したものとみている。外資流入は十二月まで、十億ドル代で継続する予想だ。今年の直接投資は、百億ドルで締め切るとみている。これらの現象を経済が折り返し点に入ったと、中銀は分析している。
八月の二十一日間に七億ドルが工業へ注入され、末日までに十一億ドルに達する見込みだ。これら海外投資は企業の債務決済のためであるが、決裁後は残額を投資へ振り替えるという。金融筋は、六五%は資本金へ振り替えるとみる。これで工業製品の輸出も、活性化すると期待される。
国際決済能力を測る過去十二カ月を七月で締めた経常収支が、二十五億六千八百万ドルの黒字となった。
貿易黒字やサービスなどの総計で、国内総生産(GDP)の〇・五七%だ。貿易収支の好転により海外収支が記録的結果をもたらした。この黒字が海外投資の復帰につながったと、政府はみている。今年の貿易黒字は七月までで、百二十四億五千四百万ドルとなった。
ルーラ大統領は、基本金利の一挙引き下げと海外投資の復帰で、経済は喜望峰を迂回しつつあると相好を崩した。海外の直接投資が停滞した今年上半期は、長い時間に思えたようだ。
多国籍企業の多くは二〇〇二年、ブラジルを襲った金融危機でプロジェクトを一時中止、直接投資も大きく落ち込んだ。今年に入って海外投資家は、昨年の状況を踏まえて様子を見ていた。政府は投資の基礎条件はそろったとして、昨年並みの年間百六十億ドルの海外投資を期待した。
政府の自画自賛に対し金融関係者は、進出企業の債務を資本金に振り替えたための海外投資と説明している。今年一月から七月までに海外投資は目標を大きく下回る四十七億四千七百万ドルが流入した。そのうち二四・五%に当たる十一億六千四百万ドルを、資本金に振り替えた。まだ昨年同期比でも下回っており手放しで喜ぶことはできないと、金融筋はみている。
ちなみに国別で海外直接投資を見ると、米国が三二・九八%、日本が一三・五二%、オランダ領アンティル諸島が九・三七%、オランダが七・四六%、スペインが七・四%となっている。