8月23日(土)
【ジアーリオ・デ・サンパウロ紙系ジャー誌】イタリア移民の影響を強く受けたパウリスタ(サンパウロ州人)が大好きな料理といえばピッツァ(ピザ)。だが、ブラジル南部のシュラスコ(バーベキュー)も根強い人気がある。サンパウロ州シュラスカリーア協会(Achuesp)によると、大サンパウロ圏だけでも月に2千トンもの焼肉をお客さんに出しているという。200万人に及ぶシュラスカリーアの顧客は肉以外に、月にトマト2万5千200キロとレタス16万2千個もたいらげている。
最も人気のある牛肉の部位は、やはりピカーニャ(もも肉の中の脂のついた肉)。Achuespのアリー・J・ネデッフィ名誉会長は、「わずか24時間で、ピカーニャ20トンが食べられてしまう。2位のアウカトラ(しり肉)より3トンも多い」と比較する。
現在、Achuespに加盟しているシュラスカリーアは84店あるが、大サンパウロ圏だけで180店以上あると推測されている。
サンパウロ市でシュラスコのロジージオ(焼肉を持った従業員がすべてのテーブルを回るシステム)がこれほど成功したのは、どんなお客でも温かく応対するからだと、ネデッフィ名誉会長は秘訣を打ち明ける。「高級レストランでは、お金がないサラリーマンを気まずくさせてしまうこともあるが、シュラスカリーアではそんなことはない。サラリーマンから大金持ちまで、誰でも大歓迎だ」。
サンパウロ市のシュラスカリーアをいくつか紹介する。
常に客が絶えないシュラスカリーアは、南部ヴィラ・マリアーナ区の『グリル・ホール・プラゼーレス・ダ・カルネ』。22種類の肉や40種類のサラダを提供するほか、その場でつくるパスタ料理や日本食もある。「肉を食べない人でも好んでくる場所。バラエティーに富んだメニューに引かれてお客さんがやって来る」と、同店主バウタザール・ディ・ドメニコ氏は説明する。
東部ペーニャ区の『ノヴィーリョ・デ・プラッタ』も、母の日などの記念日には客が千人も入る人気シュラスカリーアの一つ。これは、ネデッフィ名誉会長の大手チェーン店である。
シュラスコ料理の元祖リオ・グランデ・ド・スル州風にこだわるのは、グランジャ・ジュリエッタ区とモエーマ区にある『フォーゴ・デ・ション』と、ジャルジンス区の『ヴェント・アラガーノ』。両店ともに、同州のトロペイロたちの調理法と同じく、地面をシュラスケイラ(肉を焼く場所)にして牛のコステーラ(スペアリプ)を焼く。
チエテー川沿岸高速道路にある『ボイゾン・グリル』も見逃せない。一般的な肉のほかに、子羊のピカーニャ、イノシシの肉、食用カエルの天ぷら、ウルグアイ料理のパエジャと黒アンショーヴァ(オキスズキ)の網焼きもある。
「ロジージオは嫌い」という人は、シュラスコ歴50年の『スジーニョ』がお勧め。おなじみのビステッカ(骨付きロース)の炭火焼は、同店オリジナルの秘密の味付けをされたサラダと一緒にお客に出される。同店を訪れた歌手のスティングも気に入ったとか。
ジャルジンス区の『ロデイオ』も、一九五八年から営業しているシュラスカリーア。スジーニョと同じくロジージオ式ではない。細切りビーフ、薄切りピカーニャなどが、客の前に設置された炭火で焼かれていく。