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ペルー、メルコスルに加盟=ルーラ大統領リマ訪問=全南米網羅の共同市場へ=米国による成長阻害を警戒

8月27日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十六日】ペルーとメルコスル自由貿易協定の調印式に臨んだルーラ大統領は二十五日、トレド・ペルー大統領の提案で実質的に南米全体を網羅した共同市場の形成へ向けて音頭を取ることで合意した。ルーラ大統領は米国が提唱する米州自由貿易地域(FTAA)構想が、南米の潜在的な経済成長を〃窒息〃させないよう警戒すべきだと南米諸国に呼びかけた。

 ペルーの首都リマでメルコスル加盟国代表が集まって行われた調印式で、ウルグアイ代表のみが農産物に関する説明が不十分として署名を拒否した。南米共同体は早くも第一の関門に差しかかったようだ。
 メルコスル加盟国は、対米国や対EU、対世界貿易機関(WTO)、対FTAAなどの国際会議で、小地域連合がどんな立ち回りを演じても効果はなく、先進国の牙城(がじょう)の前には涙を飲むしかないことを、ウルグアイ代表へ説得に努めたが合意に達しなかった。
 FTAAを南米諸国にとって最良の条約とするために南米諸国の団結が必須の前提条件だと、ルーラ大統領は訴えた。ペルーを含めたメルコスル新共同市場は、加盟国が独自にどの国とも二国間協定を結ぶことを容認する内容となった。
 ペルーとの自由貿易協定によって、メルコスルは約六百品目のペルー産品の関税を撤廃する。具体的品目は国別に定める。メルコスルとペルーの昨年の貿易総額は約六億ドル、輸出は二億一千万ドルであった。今度の自由貿易協定によって、メルコスル向けペルーの輸出が三億五千万ドルに増えると見込んでいる。
 ルーラ大統領はFTAAに触れて、「一部先進国が恥知らずな保護貿易主義を行いながら、自由貿易主義を説くのは耐え難い」と指摘した。このような慣習をFTAAに取り入れることを警戒するように勧告した。FTAAを途上国支配の道具にし、発展の芽を摘ませてはならないと宣言した。
 南米最古の大学といわれるサンマルコ大学で、大統領はブラジルが、二、三十年の間に国際通貨基金(IMF)の助けを借りず独自の力で発展できるモデルを作り出すと公言した。
 大統領はペルー国会で、国際会議では途上国の国家主権が軽視されていると述べた。途上国も先進国の哀れみにすがるようなはしたないマネをしてはならないし、哀れまれるような目で見ても欲しくないと抗議した。途上国も国家主権を持つ一国家として同等に扱って欲しいと訴え、国会議員から拍手喝さいを博した。
 ブラジル政府は南米の足元を固める一方で、ジュネーブで開催中のWTO会議補助金制度の締めくくりを九月開催のカンクン閣僚会議で継続審議をするように折衝している。先進国は別の商品をもって代替えすることで、農産物問題を回避する戦術に出ている。