8月27日(水)
ブラジル将棋連盟会館。サロンの奥に理事、有段者の氏名が記された木札がずらりと立て掛けられている。男性の名しか見当たらない中にあって、ブラジルアマ四段の西山ニーナさん(二世)は紅一点の存在だ。長らく将棋大会から遠ざかっていたが、名人戦(二十四日)に久々に姿を見せ、「早く五段に昇段したい」などと意気込みを語っていた。
パラナ州ロンドリーナ市生まれ。将棋連盟の地方理事だった父、サトルさんに手ほどきを受けた。将棋歴は三十年ほどになるという。
年齢を尋ねると、「五十代後半、もう六十歳が近い」と渋り、はっきりした年を明かさない。 成人になってから大会に出場するように。中央にはなかなか、足を向けなかったが、地方大会でめきめき腕を上げ、約十年前、リベイロン・ピーレス市(SP)で四段に昇格した。
「好きだから指しているだけです」と語る西山さんだが、趣味を継続させることに苦労してきた。将棋愛好者は男性で占められていたからだ。
「話が合わなくてついつい、将棋会館に来るのが途切れてしまう。女性がもっとたくさんいれば…」と胸のうちを明かす。
定年まではサンパウロ市内で小学校教諭をしていた。友人、知人を将棋に誘ったこともある。「(ルールを知らない人にとって)、見ているだけでは時間の無駄でしょう」と声を落とす。
一時はコンピューターなど外の趣味も持った。が、幼い頃から慣れ親しんできた将棋を切り捨てることは出来なかった。
名人戦では四段の部門に出場。決勝トーナメント一回戦で惜しくも敗れたが、手ごたえを感じたよう。「毎日、駒の進め方を研究しています。日本で修行を積みたい」と語り、生き生きとした表情を見せた。