8月29日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十八日】マット・グロッソ・ド・スル州シドロランジア市(カンポ・グランデ市から百四十キロ)で二十七日、ブリチ部落のテレーナ先住民らが、元同州知事候補で元同州財務局長官のリカルド・バッシャ氏とレオンシオ・ブリット同州農業連盟会長の親族二人を、五時間にわたって人質にとった。
テレーナ先住民たちは、二十五日から部落周辺の農場十一カ所を占拠している。二十六日には、農場主たちが、農場へ行く道を閉鎖。インジオたちと農場主たちは緊迫した状態になった。
同日、バッシャ氏のブリチ農場も占拠された。同氏は翌二十七日、被害状況の確認のために農場を訪問。その時、農場内にいた先住民らに取り押さえられた。
先住民らは、人質三人を縛って監禁。ダゴベルト・ノゲイラ・F同州保安局長官は、先住民問題が連邦警察の管轄であると承知しながらも、「人命の危機にかかわる問題」と受け止め、軍警の出動を命じた。
解放後、バッシャ氏は、「(インジオたちは)わたしの家にまで入り、何もかも壊してしまった」と、軍警と連警に訴えた。ブリット会長は、「三人は自尊心を傷つけられた。この状況が解決されない限り、インジオたちは生産者たちの仕事を妨害するだけでなく、牧牛も殺し続ける」と憤っている。
パウロ・コレーア州会議員(PL=自由党)は、同州議会の場で、州内で起きている先住民らの農場占拠の陰には、インジオ宣教師協議会(Cimi)がおり、糸を引いていると指摘した。「このような占拠運動が突発的に起こるはずはない。Cimiに挑発されたのだ」と明言している。
ブラジル全国司教会議(CNBB)と関係のあるCimiは、ブラジル最大の先住民部門機関である。七月開かれた年間会議でCimiの幹部らは、政府側が先住民らの要望を受け入れてくれていないと不服を述べていた。先住民らは特に、先住民保護地区の拡大を望んでおり、すでに訴訟問題にまで発展している。一方ブリット会長は、「インジオたちは法律を踏みにじっている」と反論している。