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県費留学生補助金カット問題=出費減らして存続へ=県側と交渉進展中=日当廃止、旅費自己負担?=アンケート実施する県も

8月29日(金)

 【既報関連】存続が危ぶまれる「県費留学生・研修生受け入れ制度」について、受け入れる県側も存続に向け様々な提案を出している。交通費の自己負担や生活費の削減など、外務省の補助金がカットされることに伴い、出来るだけ支出を減らすことで、制度の存続を図ろうとするものだ。すでに具体的な案を提示している大分県に加え、宮崎、宮城県などは、独自に県人会に対してアンケートを実施。県人会が希望する受け入れ制度との接点を探っている。

 すでに今年度からの中止が決定している東京都や青森県、滋賀県などとは対照的に、大分県や沖縄県などは今後も継続していく方針を打ち出している。
 この問題について、いち早く母県から連絡を受け、県連に問題提起した大分県人会では県側が継続に前向きな姿勢を示している。
 留学生については往復旅費の自己負担の上、生活費を六割支給、学費は県が全額負担。また研修生は従来あった神戸での日本語研修を廃止し、日本到着と同時に研修先に配属するため、日本語能力は不可欠、との提案があった。
 また継続は未定だが、研修の必要性や県人会への貢献度などを調査している県もみられる。
 宮崎県では、どれぐらいの希望者がいるか▽帰国後、県人会に貢献しているか――など四項目に渡る項目を、県人会に質問。すでに吉加江ネルソン会長が回答した。「宮崎は七月に知事が替わったこともあり、これから検討が進むと思う」と継続を強く求めた。
 七月末に浅野史郎知事ら来伯した宮城県人会には、今月十九日、県国際交流課から、研修生受け入れを巡る今後の対応について、文書が届いた。
 同県では、来年度以降の継続について現在検討中だが、県人会の意向を知るのが目的だ。
 従来、来日から帰国までの全てを国と県で負担していた同制度は、日本語研修二カ月、技術研修七カ月で構成。往復旅費と支度料二万五千円に加え、日当四千三百円などを負担していた。アンケートでは①日本語研修廃止の是非②往復旅費を自己負担とすることについて③日当の廃止、もしくは半減――などについて、ブラジル側の見解を求めている。
 来年以降の受け入れについて、不透明な情勢が続く中、県連の留学生・研修生問題委員会では、これまで通り留学生・研修生希望者に対する日本語試験を実施。田畑稔委員長を中心に、各県人会の対応やこれまでの派遣実績などをまとめた上で、海外日系人大会や日伯議員連盟などに陳情を予定する。