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経済成長 連続して下降=近く緩やかな回復へ=中銀、景気後退を否定=産業界も〃台風〃一過と観測

8月30日(土)

 【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十九日】地理統計院(IBGE)は二十八日、第2・四半期の国内総生産(GDP)がマイナス一・六%であったと発表した。原因は融資不足や高金利、所得低下とみられ、一九九八年第1・四半期以来の落ち込みとなった。政府は、農業分野と輸出部門が成長しているので全面的な不況ではないとしている。第3・四半期は、消費回復や工業生産で経済活性化の兆候がすでに見えている。

 金利政策と緊縮財政で産業界は、水を差された形で経済政策に対する風当たりが強い。現政権が就任して第2・四半期は第1・四半期よりも、GDPが一・六%さらに低下。アジア経済危機が起きた一九九八年以来の最低水準だ。
 第2・四半期は消費者の購買力がマイナス三・九九%、工業生産がマイナス三・七五%、貯蓄はマイナス六・三九%という状況であった。企業の投資は、六〇年代以来の低水準であった。これまでマイナス成長のなかった農畜産でもマイナス一・一八%となったのは、コーヒーの四千八百万俵から三千万俵への減産があったため。原因は降雨不足だが、隔年の不作の年にも当たった。
 全分野が投資面で関係する建設は、例年百十五万人を雇用するところ、わずか一万七千人にとどまった。建築資材もセメントがマイナス一〇・四%、配電資材がマイナス一四%と落ち込んだ。セメント消費は、消費力の寒暖計とみられる。政府は事態の深刻度を認識してはいるが、第3・四半期に回復の兆候があることで景気後退は否定した。
 景気後退に関する見解は、国によって異なる。ブラジルは四半期のGDPが二期連続してマイナスであったら、景気後退とみなす。米国では数カ月、全部門で生産、雇用、所得、消費が低下したら景気後退。ドイツでは、見込みより低い成長率であったら景気後退。ドイツの見解なら、ブラジルは二十年も不況となる。
 国内市場は、一般消費者の購買力低下や企業投資の減少、政府の緊縮政策で二年にわたって弱体化している。この三拍子を〃花見酒〃経済と呼ぶ。もうけただけ食い尽くしてしまう。成果は何も残らない。国家経済は空回りしている。
 構造的不況は国家の貧困化、国民の生活水準の低下で、二〇〇一年の電力危機から始まった。第2・四半期に七・一%の電力消費低減で景気が、悪循環したという見方がある。ブラジルは財政改革を行うと、貿易収支の均衡を図るため国内市場は常に萎縮する。
 国内市場の惨状を救ったのが、昨年来の輸出だ。同期輸出は三〇・一%伸び、輸入は六%減少した。この輝かしい輸出の成果がなかったら、GDPの落ち込みは一・六%でなく、七%に達していた。しかし、七月には失業率減少、勤労所得の増加、工業生産の増加、スーパーも売上増加、包装材の出荷と活性化の動きが見えている。