9月2日(火)
【エスタード・デ・サンパウロ紙九月一日】ゴウヴェイア・コンサルタント社は三十日、サンパウロ州の経済活性化は地方から始動したと発表した。サンパウロ市の七月商業ローンが昨年同月比で七・八%減に落ち込んでいるのに対し、地方は平均で九・四%増の活況を呈している。特に輸出向け農産加工業が集中している地方都市が中心で、オレンジ・ジュースとアルコール産業のアララクアラ市は三三%の伸びを示し、リベイロン・プレット市は一六・七%であった。
経済活性化は、七月から地方都市の消費拡大が起爆剤となって動き出した。サンパウロ市の商業ローンが落ち込んで意気消沈としているのに対し、輸出基地となっている農産加工業の地方都市は沸き返っている。
国内総生産(GDP)の七・四%を産出、サンパウロ州生産高の一〇%を占めるというリベイロン・プレット地方は、経済が七月から躍動している。同市の活気は年金改革の可決、基本金利の引き下げで回復の様相が実感できたという。
アララクアラ市では、ローンによる消費が三三%増と驚異的伸びを見せた。同市には、エンブラエル航空機製作所の設置が一九九六年に決定した。同市を中心にサンカルロス市やマットン市などで、大きな雇用創出も見込まれている。
地方の工業都市といわれるソロカバ市やカンピナス市、アメリカーナ市、リメイラ市などは、まだ商業ローンが伸び悩んでいるのに、農産加工都市が経済活性化の震源地となり、予想された最悪事態は回避されつつあるようだ。
さらにクリスマスの四カ月前に、ブラジルでは一般に債務整理を始める。七月までに昨年同期比の二六・六%増に当たる約百万人が不渡り小切手や滞納金、手形決済遅延などの債務決済また債務延期手続きを行って、ブラック・リストから晴れて放免された。
基本金利の引き下げも雇用に大きく影響し、消費の伸びを盛り上げている。多くの熟練工が失業して、従来の半分またはそれ以下の収入で呻吟(しんぎん)を余儀なくされていた。今度復職したことで、かねてより念願の家電製品をローンで購入しようと商店に走る例が目立っている。
第2・四半期のGDPがマイナス一・六%となったことで、中央銀行も多少動揺したようだ。過ぎたことに、いつまでもこだわらず未来の躍動が始まっていることに注意を向けるように、中銀のベヴィラッカ通貨担当理事が呼びかけた。
同理事は国際通貨基金(IMF)に長年勤務し、二カ月前に通貨審議会のメンバーに就任した。ブラジルはマクロ経済が整備され、短期的には何ら憂慮する問題はないと述べた。マイナス一・六%は、減速経済であって景気後退ではないという。景気後退とは長期に全分野で減速経済が続くことで、今回はそれに当たらないと否定した。