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USPが雇用創出を企画=相互扶助組合を設立=失業者が経営者に昇格

9月2日(火)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙九月一日】サンパウロ大学(USP)の学生が失業中の低所得者のために相互扶助組合を創設した。組合員は現在、四十一人いる。加入すると清掃や庭師、建築現場などの勤務があてがわれ、月平均四百五十レアルの収入を得る。
 組合員は収入は少ないが、夢があると張り切っている。例えばパン屋へ一人就職すると、いつまでもたっても一人の使用人に過ぎない。パン屋勤務の組合員が複数になると、グループでパン屋を経営できる。裁縫、芸人、主婦も同様。グループとなると各々の特技にしたがって、企業化が可能になると認識してきた。
 多くの組合員は失業者から経営者へ変身したことで、自分の価値を見い出している。中には人生計画を立てて、勉学にいそしむ人も出てきた。失業を恐れて主人の顔色をうかがって生きてきたので、自分自身が誰にも支配されない経営者になることで向学心が沸いたと目を輝かせている。
 USPには雇用創出のために五つの企画があった。「相互扶助組合」はその一つであった。また十五の大学でも、同様の企画があり実施が進められている。同企画には、NGOと政府機関が後援する。大学生の役目は、失業者が自分自身で雇用創出を行うふ化器の役を果たしている。
 失業者は、各々外交販売や生産などの特技を持っている。組合組織にして各自に社会の一員として公衆道徳の自覚を植え付け、企業化のための経営技術も教える必要がある。各組合が自立できるまでに、三年から五年かかるとみている。
 組合員は、組合長から新人まで全員同率給与。総収入から一五%差し引き、残額を頭割りする。一五%の一〇%は基金としてコンピュウター購入のローンを払う。五%は講習費用に充て、全員が勉強して必要最低限の思考力は身に付ける。
 組合で生産したパンやおつまみは、大学の構内に設けた仮売店で販売している。組合員は銀行融資を受けて、本格的ベーカリーを夢見ている。また工業用中古ミシン四台を据えて、市から作業服の大量注文を受け活動開始した。オーバーロック(ふちかがり機)と裁断機は高いので、来月ローンで購入予定。組合に不思議と、役者がそろうという。 
 組合は先週、組合員総会を開催した。総会では通勤者のバス料金とクリスマスのための七面鳥購入基金を設置することを決定した。