9月2日(火)
【エスタード・デ・サンパウロ紙】八〇年から現在までの約二十年間、ブラジルでは科学分野における新発見・新技術開発が目覚しく増加した。八一年には千八百八十九件だった開発件数は〇二年に一万一千件となった。この数は世界全体の一・五五%を占める。
しかし、こうした技術のほとんどが特許を取得しておらず、利益につながることはさらにわずかだ。大学では特許取得の習慣がなく、産業界では技術の応用に欠ける。そもそも両者の間に協力関係がなく、それが科学技術発展の最大障壁だと多くの科学者が指摘する。
例えば、推定年間五十億ドルの売り上げがあり、ジャララッカ(マムシ科の毒蛇)の毒から生み出された抗高血圧剤『カプトプリル』がそうだ。この医薬品のBPPとして知られる速効成分はイギリスにあるロイヤルカレッジの研究員たちの協力を得て、六〇年代末にサンパウロ総合大学医学部のフェレイラ研究員によって発見された。だが十年後に特許―利益―を得たのはアメリカのブリストルマイヤーススキッブ製薬会社だった。
「当時は特許取得という頭がなかった。もしあっても、おそらく誰もその発見の価値を見出せず、こんなに成功するなんて想像しなかっただろう」と研究の初期段階に参加したカマルゴ研究員は述べ、たとえ特許を取得できても、それを発展させ、医薬品を開発する技術が当時のブラジルにはなかったと付け加えた。
先進国の間では一般に大学が新しい発見を行い、企業がそれを技術開発に結び付ける。しかし、ブラジルでは学問分野と産業分野が両輪となって進むことは現状では困難だ。それ故にブラジルは研究者を民間企業で育てることが必要とされる。米国では科学者・技術者の約八〇%が民間部門で活躍しているが、ブラジルでは全く逆だ。八〇%の研究者が大学や研究所に雇われ、研究室と教室を行き来している。