9月4日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙三日】政府は二日、農地改革院のマルセーロ・レゼンデ総裁を解任した。
同総裁は百七十一件に上る農地占拠によって疲れ果て、改革院は農地占拠運動(MST)グループによって支配されていると批判されていた。MSTは、総裁解任を政府の裏切り行為と非難した。後任にはメルカダンテ上議の側近ロルフ・ハックバルト氏が就任した。
内陸部で地主とMSTの間で高じている緊張を緩和するため政府は、ルーラ大統領の意向に従い農地改革院レゼンデ総裁の交代を決定した。農地占拠、略奪、国道封鎖などで数カ月、国内の農業生産に支障を来し不安をあおっていた。
ロセット農地改革相は前総裁の解任は、政府との間に意見の相違が生じたものではなく、政権の段階的調整による改造だと説明した。後任のハックバルト氏は農地改革相と同郷の南大河州出身で国立リオ・グランデ・ド・スール大学の同窓生であると紹介した。
新総裁は就任式で、MSTとは密に対話の場を設けるが、MST対策に変化はないと述べた。農地改革院の州支部長二十九人のうち二十六人が農村運動と個人的関係を持ち、地主らから癒着を懸念されていたが、新総裁は支部長の改造はないと明らかにした。
前総裁はベロ・オリゾンテの出張先で、農地改革相から解任通知を受けた。七カ月の就任中、百七十一件の農地占拠と衝突で十八人の犠牲者を出した。政府は農地改革のために、一億六千二百万レアルの予算を計上した。政権就任以来九カ月目となるが、入植したのは五千世帯に過ぎない。
政府は今年、六万世帯の入植を計画した。しかし、一万世帯の入植と営農指導の予算しかない。二〇〇四年度は十億レアルの予算を要求して、四億レアルは土地購入に充てる予定としている。しかし、公約の六万世帯は画餅(がべい)であることに変わりはない。
地主らは農地改革院総裁の解任についてコメントを避けているが、地方部でMSTとの確執が低減され内心は安どしたようだ。新総裁が何を考えているかは、予断を許さない。総裁交代で政府は、〃ロクデナシども〃を唆すようなことはしないと、農村協会のサンパイオ会長は判断した。
前総裁は思想的にもMSTと共通し、地主対MSTの摩擦には仲介人として不適格という見方があった。政府が農地改革院の扇動的言動に気づいたことを、農村協会は歓迎するという。次は農地改革院州支部の構造改革を要求した。
新総裁が人事移動はないと公約したことで、MSTの一方的要求を取り入れた支部に、農地改革院が介入して考え方を矯正するよう、農村協会は求めた。地主らは、農地改革院が政府から離れて一人歩きをしていたと訴えた。