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ブラジルで組織培養治療に成功=世界で初の快挙=心臓移植手術が不要に

9月4日(木)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙三日】リオデジャネイロ出身のハンス・F・ドウマン医師は二日、核細胞で組織培養をした臓器による治療に成功し、オーストリア・ウイーンで開催された心臓学会で脚光を浴びた。同氏の研究発表は臓器治療で、組織培養による臓器が人体に安全であると確認したことで注目を引いている。
 心臓疾患を患い臓器移植の列に並んでいた患者五人と相談の結果、新治療法を試みることで、同医師は合意を得た。患者自身の人体から核細胞を摘出し、心臓の組織培養を行った。患部へ組織を注入して六カ月後、四人の健康状態は極めて良好であったとされる。
 この治療法のメカニズムについては、まだ不明の部分があるが結果は成功としている。リオ市の心臓外科病院は、世界で初めての組織培養による治療を行う病院となった。同病院が最初に実験したのは二〇〇一年、これまでに二十五人が同システムで治療を受けた。
 同病院では核細胞を骨髄から摘出し組織培養を行う。患部の血液が循環しない箇所で新しい血管が形成されても差し支えない部分へ、培養した組織を注入する。体内で組織培養が行われて一年後、破壊されていた血管が七一%修復していることが判明した。
 心臓の臓器移植をした場合は一年後、血液が循環していない血管が反対に少し増えていた。これらの現象を分析して、心臓疾患は新陳代謝が行われないために起きるとみられる。心臓疾患になる体質の人は、血液が心臓の細胞へ変化するメカニズムに問題があるとされている。
 臓器移植をしても、一定期間後また心臓疾患になる。再度、心臓治療をする必要が生じる。それはカテーテル手術で血管の一カ所を開通しても、しばらくすると他所に閉塞が起きることで証明されている。
 同病院は心筋梗塞(こうそく)で苦しむ患者に、核細胞を注入して組織培養を行う治療を始めた。この治療法は世界各国から注目され、見学のためにドイツをはじめ多数の医師団が同病院へ詰め掛けている。