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膨大な富を生むソフト=〃知恵〃の輸出は花形=開発分野は多岐にわたる

9月4日(木)

 【エポカ誌】地を耕すでなく、機械を操作するでもなく、販売で奔走するでもなく、ただ未来を見詰め〃知恵〃だけを武器に多大な富を生み出す知的革命家たちがいる。農業技師から医療技師、通信技師、財テク、運輸業、IT技術者など色とりどりの分野にわたりブラジルからソフトを輸出し新時代を築いている。

 物理学専攻のジャルバス・カストロ氏は一九八六年、米国マサチュウセットゥ工科大学で電子アイを考案すると、アイデア事業化のために帰国した。同氏の電子アイは、歯科医が口の中を照らす光線で一〇〇%ブラジルの技術。国際市場で五〇%のシェアを持つ。
 電子アイの集光レンズはフランスから輸入し、注文から納品までに半年かかっていた。同氏のラボがあるサンカルロス市は、学術都市で四十人に一人は学者だ。知人学者の応援で、国産レンズの作製に成功した。
 レンズ作製からヒントを得て、眼球の手術に使うレーザー光線用の集光レンズにも成功した。バーレ・ド・リオドーセが積み荷の数量を測るレーザー遠隔測定器も開発した。現在は電子アイの売上だけで月三千万レアル、毎年二〇%増で年商が伸びている。
 ペドロ・H・マセド氏はペルナンブッコ技術センターのソフトウエア部長。同氏の携帯電話によるゲームソフトが、シンガポールで千社に上るアジア勢を破り見事契約を結んだ。アジア地域のオペレーター四十社へ供給することになり、パテント料月二十万ドルのワイド収入が入っている。
 元銀行員のカルロス・ゴンチジョ氏とマルセロ・マラグチ氏、高等裁元職員のマリオ・マラグチ氏の三人は一九九三年、各銀行の異なるITシステムを統一できるソフトを開発してフォトン社を創業した。同社はブレイン社と提携、中近東で広く営業し年間七十七万ドルの収入を得ている。
 ムタ・タカシ氏は事故防止の航空管制システムを開発した。広大なアマゾナス州の空を人工衛星による管理、地質調査、気象観測、防衛システムなどで、四百人のスタッフを抱える大世帯を持っている。 
 フラヴィオ・モスカルジ氏は、農薬を使わないバイテクによる殺菌剤を開発。
ウラジミル・アイロウジ氏は、人工ダイアで音のしない麻酔不要の歯科医用器具を考案し、クロロバレ社へパテントを売却した。毎月七万レアルを受領する。 
 政府系のSOFTEXは、ソフトウエアを開発したブラジル人のために海外市場を紹介している。携帯電話に新しいソフトを装てんしたアイデアが、若い資産家を生んでいる。いまや国内総生産(GDP)の六〇%を占めるサービス産業は、青年事業家のオアシス。
 ブラジルは、知的所有権の輸出では後発だ。ブラジルは自国で必要な知識を自国で生産できないため、三十億ドルという高い代価を払っている。ブラジルにとって工業化では後輩の韓国だが、ソフトの輸出で多額の外貨を稼いで逆転した。