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衰退期に入った米国=虚脱、混乱の時代到来

9月4日(木)

 【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十三日】リオデジャネイロ市で二十二日、ヘゲモニー(覇権)に関する革新思想家の国際セミナーが開催された。イマヌエル・ワレルスタイン氏とジョバンニ・アリジ氏、サミル・アミン氏の三人は、長期的グロバリゼーションの過程でEUと拮抗(こっこう)する米国の覇権主義は衰退期にあると〃終えん論〃を展開した。
 米国が武力に訴える外交手法は、米国の経済的覇権と思想的覇権を保持しようとする「あがき」と、三人は論評した。イタリア人のアリジ氏は、米国が国際的な流れに逆らって前時代的手法の導入と同盟国の服従を強要するのは、現代に古代ローマ帝国を築こうとするもので、結果的には混乱を引き起こすと述べた。 
 またブッシュ政権にその事後処理をする能力はないと、三人はみている。米国の対外収支は一九九八年、国内総生産(GDP)の二・三%に上る赤字を出した。さらに二〇〇三年には、五・一%の赤字へ悪化し脆弱(ぜいじゃく)さを露呈した。この矛盾を糊塗するために、米政府は外資が米国へ集中する政策を採っている。それが武力介入なのだという。
 覇権主義は外資を米国に流入させるため、敵を作り出す必要がある。介入の理由は後で、でっちあげる。世界の警察官として外国へ武力介入をしたら、同盟国は米国へ資金援助をする義務が出てくる。米国債購入という〃上納金制度〃もある。これで外資が米国へ集まる流れができる。
 イラク問題は米国覇権にとって、ほころびの始まりだという見方だ。米国の覇権政治を傍観しているように見えるが、世界は米国が破綻するのを待っている。やがて米国の覇権時代が終わり、「島々のクラブ」が背景に控えるEU覇権時代へ移るとみている。
 二〇〇三年十月にEU憲法草案が討議される。可決されれば、二〇〇四年五月に調印される。加盟国二十五カ国は、さらに増加する見込みだ。二〇〇五年にはEU憲法を基に、EU大統領が誕生すると思われる。
 世界規模の住民台帳システムが導入され、EU本部のスパコンに接続される。国民総背番号制と統制経済、テロ対策が平行して進行するが、覇権政治はやがて行き詰まり虚脱期を迎えると、ワレルスタイン氏はいう。そのときのために代替システムを準備して、人類の滅亡にもつながりかねない世界的混乱を避けるべきだと、同氏は訴えた。