9月4日(木)
【ジアーリオ紙系ジャー誌】サンバをはじめボッサ・ノーバ、ショリニョ、電子合成音に至るまでブラジル音楽が世界の音楽愛好者から大きな反響を得たのは周知のこととなっている。これまでほとんど知られていないブラジルの新楽器が、いま国際市場で注目されている。
これらペルシャの古代楽器アラウデに似た新楽器を製作する音の彫刻家たちをルチエルと呼んでいる。アラビア人がルネサンス時代、アラウデをペルシャからベネチアへ紹介し、さらにブラジルへ伝えた。サンパウロ市には多数のルチエルが、楽器製作にいそしんでいる。
JBことジョアン・バチスタ・トラジャノ氏は三十年前、パライバ州から上聖しジアニニ楽器製作所の清掃夫に就職した。ベアを目指して楽器製作にも挑戦。昼はジアニニのラインでギターを製作、夜は自宅でクラシック用のギターを製作した。やがてJB印ギターは音楽家の間で評判になり、特価がついた。幻想的な調べが、米国でも評判になり注文が相次いでいる。
靴職人であったジョアン・パエス氏は業界の不況で失職中、友人からギター製作の職を紹介された。これがルチエルになったきっかけ。現在は有名な数々のバンド専属の楽器製作を担当している。同氏への製作注文には、長い列がある。
ロベルト・ホルツ氏はバロック形式の楽器に三百年前の欧州の技術を取り入れた吹奏楽器を製作している。本職は建築設計だがルチエルに転業した。試行錯誤で独特の音色を創作、欧州へ輸出している。
イヴァン・ギマランエス氏もバロック形式だが、音楽一家の家庭に生まれた。
楽器一個の製作に三カ月かかる。内外の有名な音楽家から注文があり、値段は四千二百レアル以上。品質は自分で納得しないものを、注文主に渡さないというこだわりようだ。