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コラム 樹海

 自民党最大の派閥・橋本派が総裁選を巡り分裂しそうな気配を見せている。反小泉を掲げる野中広務元幹事長と首相を支持する青木幹雄氏が真っ向から対立し派を束ねる橋本龍太郎元首相も手が付けられないらしい。その昔は、一緒に弁当を食べながら「一致団結箱弁当」を合言葉に「鉄の団結」を誇ったのに今や派内に亀裂が生じて曾ての面影はない▼「数は力」を信念とする田中角栄氏が創設したこの派閥は大きく影響力も強い。自民党の国会議員数は三百六十に近いが、橋本派に所属する衆参議員は百人もいる。勿論、最大の派閥で「派閥の中の派閥」であり、数の力を背景にして政界に重きをなしてきたのはご存じの通りである。だが、田中から竹下に移り小渕、橋本と呼び名が変わるうちに派閥の性格も効用もまったく別になってしまった▼選挙制度が小選挙区になったことが最大の原因と見ていい。昔の派閥なら若い人に軍資金を配布し、年功序列ながらも大臣ポストを準備するなどの効用があったけれども、もうそんな時代は過ぎ去っている。それと小泉首相には「一内閣一閣僚」の政治モットーがあって改造人事が真に少ない。省庁再編で閣僚の数が少なくなってもいるし民間からの起用も多い▼こうしたところが、反小泉派には不満らしい。けれども、首相のいう「脱派閥」ではないが、派閥が政治を主導し支配するような時代でないのは確かだ。もし、今後も派閥が存続するにしても、それは政策集団として生き延びるしかあるまい。橋本派の亀裂はそんなことを語っている気もする。 (遯)

03/09/04