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米食中心、日本食見直すー家森氏講演「長寿の秘訣」

9月9日(火)

 ブラジル戦後移住五十周年・第四回記念講演会「日本の食文化と長寿の秘訣」(サンパウロ総領事館、ブラジル戦後移住五十周年記念祭実行委員会共催)が三日、文協小講堂であった。講師の家森幸男氏は京都大学名誉教授(医学博士)でWHO(世界保健機構)循環器疾患予防共同研究センター長。会場には約百五十人が集まり、家森氏が解説する脳卒中や高血圧、高脂血症などの予防法に耳を傾けた。
 家森氏は一九六二年、京都大学大学院医学研究科博士課程修了。同大学医学部や島根医科大学で教鞭をとる傍ら、八三年、WHOの研究センター長に就任。二〇〇〇年にはハーバード大学客員教授にも任命された。これまでに米国心臓学会高血圧賞(CIBA賞)、ベルツ賞を受賞。
 講演はポルトガル語同時通訳で行なわれた。家森氏は、「大豆や魚のタンパク質と、野菜、果物に多いカリウムや食物繊維を十分に摂取すると、脳卒中が予防できる」と解説。また、世界二十五ヵ国六十地域での疫学調査をもとに、日本の沖縄県人と、ハワイ、ブラジルに住む同県人を比較した研究では、ハワイでは日本の沖縄型食が維持されたため平均寿命が長いが、ブラジルカンポ・グランデでは魚、大豆、海藻を食べる習慣が薄れたため、心筋梗塞が増え、平均寿命が十七年近くも短くなったとした。
 家森氏は、「日本食を見直すことが長寿の鍵」として、(一)米食中心――カロリー摂取過多を防ぐ(二)魚介類一日百グラム、野菜一日三百五十グラム――タウリン、カリウムの摂取で交換神経の過剰な興奮を抑制(三)乳製品――オメガ3系多価不飽和脂肪酸の摂取で血栓症防止(四)大豆――タンパク質、イソフラボンの摂取で動脈硬化、ガン、骨粗しょう症の防止――などを心がけるよう促した。
 なお、実行委員会では、同講演会で家森氏が語った資料コピー(記念キーホルダー付)を十レアルで販売している。問い合わせは、(電話・11・3276・9450)まで。