9月10日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙九日】パロッシ財務相とメイレーレス中央銀行総裁は八日、国際通貨基金(IMF)へ金利政策の緩和容認を要請する書簡を送付したことを公表した。インフレを克服し、もはや高金利政策の必要はないとして通貨の引き締め緩和を容認するように八月、IMFに対し要請していた。書簡は政権発足当初の財政危機は乗り越え、確固とした基盤のもとに経済回復の兆候があるとしている。
緊縮財政と国を挙げての努力によりブラジル経済は、危機を乗り越えた。もはや、高金利で産業を締め付ける理由はないとIMFへ報告。政府はインフレ抑制の目標を達成し、これから経済活性化と雇用創出に専念することで了解を求めた。
IMFは五日、既存の金融支援協定に盛り込まれたブラジル向け融資枠のうち四十二億ドルの実行が承認されたことを明らかにした。政府はこの融資枠を行使することで、呼応した。国税庁は今後、インフレ抑制と低金利政策を両立させ経済活性化を優先する。
構造改革は年金改革が、山場を越え上院へ回された。税制改革も、審議中だが確実に進展している。会社倒産法も近日、表決が行われる。公務員の補足年金基金も、法整備が行われた。パロッシ財務相は、構造改革が確実に進行中であることを書簡で強調した。
政府は二〇〇三年、中止していた国営化した州立銀行の民営化を再開すると発表した。九月末日の決算によって競売での最低価格設定など、年末までに大きな進展が見込めるという。しかし法的問題の整備のために、実施は当初の予定より遅れるとした。
ブラジルが外資を大きく取り込むために、証券市場の制度改正や金融コストの削減で、サンパウロ市証券取引所の強化も行う。この問題は、経済開発審議会でも取り上げられた。中銀に登録されている金融取引企業の名簿を、信用基準とし問題の企業をチェックする。
中銀のメイレーレス総裁は、国際経済に回復の兆候があり、企業家に波に乗り遅れないように呼びかけた。スイスの国際決済銀行(BIS)会議に出席のためバーゼル滞在中の同総裁は、経済は年末には明確に活性化し、国際経済回復の波に乗るため政府は万全を期すと述べた。
政府は今年の経済成長率を一・五%としたが、上方修正は時期尚早としながらも、見通しは明るいという。九〇年代は世界的に好況であったが、ブラジルは乗り損ねた。九四年から九八年に、財政赤字を出していたのが乗り遅れた原因だ。九九年から均衡財政に努力したが、後の祭りであった。
米国の黄金時代、特に二〇〇〇年は奇跡の年であったが、ブラジルは余ろくにありつけなかった。しかし、年末から国際経済が好転し途上国へ外資が流入すると、総裁はみている。先進国の景気回復で、ブラジルの輸出も大きく好転する。