9月11日(木)
ブラジル映画の登龍門、第三十一回グラマード映画フェスティバルで日系脚本家、クラウジオ・ヨシダ氏(三二)が参加した長編映画『デ・パッサージェン』が最優秀映画賞(キキトス賞)を受賞した。同作品は監督、助演俳優、批評など各部門の最優秀賞に輝いたほか、ヨシダ氏は最優秀脚本賞を獲得した。十日付、ニッポ・ブラジル紙が報じている。
ヨシダ氏はUSP芸術コミュニケーション学科卒。受賞の知らせを聞いて驚きをあらわにし「出品することで頭がいっぱいだった。どうやって作品にかかった費用の元を取るかばかり考えていた」と語った。
同映画の脚本は二〇〇一年に執筆され、文化省の低予算脚本賞を受賞した。しかし、撮影資金の援助者が現われたのは翌年八月で、フェスティバルに出品するには、四週間で全て撮り終える必要があったという。
今回最優秀賞を受賞する以前にも、ヨシダ氏はその才能をいかんなく発揮している。九九年、デカセギたちの生活や直面する問題を追った長編ドキュメンタリー映画の脚本で文化省賞を受賞。残念なことに、資金援助者がいないため、同脚本は日の目をみないままだ。ヨシダ氏は「映画のほぼ八〇%が日本での撮影になり、経費が非常に高くなる。そのためにも、ほかの作品で注目を集めることが目的」と語っている。