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日本人初上陸から200年=陸奥人4人が2カ月滞在=サンタカタリーナ協会=記念日本週間を開催=『環海異聞』のポ語訳出版

9月13日(土)

 日系サンタカタリーナ協会(フロリアノーポリス市=新里エリジオ会長)は、一八〇三年に初めてブラジルの地を踏んだ四人の日本人を記念し、日本文化週間を十一月七、八、九日の三日間、同市インテグラーダ文化センターで開催する。八日には同協会の創立二十周年記念夕食会も開かれる。同週間の準備に追われる高杉フェルナンド監査役は「これを機会に日系人の少ないここでも日本文化が育ってくれれば」と話している。

 同協会が日本週間を開催するのは、移民八十周年を記念して行われた第一回目(一九八八年)から、実に十五年振り。  
 高杉監査役によればフロリアノーポリスには約百の日系家族がおり、その半数が同協会の会員家族で「一世の数はもう数えるほど」だという。
 「協会創立当初から日本文化に興味のあるブラジル人を対象に活動を行ってきた。この機会に多くの市民に日本文化に触れてもらえれば」とその意気込みを話す。  
 期間中はクリチーバの日系団体を招き、太鼓の演奏や空手、合気道の模範演技、舞踊などを紹介、折り紙教室や書などの展示が行われる。「同センター内で一週間にわたって、日本映画の上映も予定している(高杉監査役)」という。 同週間の開催は、昨年十二月までポルト・アレグレ総領事館に赴任し、日系社会にも大きな関心を寄せていた津嶋冠治前総領事の発案によるもの。
 同総領事の肝入りで『環海異聞』に書かれているブラジルに関しての記述のポ語訳版を刊行する企画も今回実を結び、期間内に約五百部が無料配布される。 
 なお、同協会創立二十周年記念夕食会も八日午後八時半から、市内のレストラン・グアシアラで約二百五十人の招待客を招いて開かれる。
 日本移民百周年を五年後に控えた今、フロリアノーポリスで潮風に吹かれながら、笠戸丸より一世紀以上も前にブラジルに足跡を残した日本人たちに思いを馳せるのもいいだろう。
 詳しくは電話=(48)233・3651(高杉フェルナンド・オルガ)まで。
   【環海異聞】
 一七九三年、江戸に向かう途中に漂流し、ロシア領オンデレッケ島に漂着した陸奥国石巻の回船若松丸(乗組員十六人)。
 八年の滞在後、帰国を希望した津太夫、儀兵衛、左平、太十郎の四人がロシア軍艦に乗船途中、サンタカタリーナのデステーロ(現在のフロリアノーポリス)に二カ月以上滞在した。
 これが日本人のブラジル初上陸といわれ、『環海異聞』は彼らの旅行記録を、時の仙台藩主の命により、蘭学者の大槻玄沢がまとめたもの。