ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | パラー州で農民8人殺害=入植者への見せしめ=雨季は無法地帯に一変

パラー州で農民8人殺害=入植者への見せしめ=雨季は無法地帯に一変

9月16日(火)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十五日】パラー州で最も危険な地域とされる南部のサンフェリックス・デ・シングー市から百八十キロメートルのプリマベラ農場で森林伐採中の労働者八人が十二日夕、武装し待ち伏せていたならず者に射殺された。
 軍警の報告では事件現場は道路がなく、車両の走行が不可能な場所とされる。同地方は何者かがならず者を雇って植民者を殺害して、農地を転売したり木材の違法売買が、ひんぱんに行われているという。
 ルーラ政権が発足して、初めての地主の土地購入と入植による殺害事件となった。当局は十五日、ヘリを手配して現地へ向かい、遺体をベレンへ運び解剖をする予定だ。一緒にいた労働者二人はオートバイで逃げ、難を免れた。二人の証言では全く抵抗のすべがなく、ある者は背後から頭部を打ち抜かれた。
 パラー州地方裁のマシエル判事は十四日、ベレン軍警の特別捜査班が同地方へ飛び、トレス・ポデレス、バーラ・デ・トリウンフォ、チボルニアの三大農場周辺で、ならず者狩りを行っていると述べた。
 近くの牧場で働く牧童の証言では、同地域を半年前からならず者のグループがはいかいしている。新入植者を見つけると地主の前で使用人らを見せしめに殺害し、地主を追い払うのが通例という。昨年十二月からこれまでに、入植した六人の地主がバーラ・デ・トリウンフォ農場付近に連行され殺害された。二人は耳をそぎ落とされ、殺害された。
 シングー地方は偽造地権や不法占拠、インジオ保護区でのマホガニー違法伐採が、日常茶飯事に起きている。アマゾン地方の雨季六カ月は、シングー地方は交通止めとなるために無法地帯に一変する。  
 バーラ・デ・トリウンフォ農場の地主ジュンケイラ氏は軍警の質問に対し、同氏の農場内をうろつくならず者や木材の不法伐採者取り締まりを、パラー州政府へ何度も要請したが効果がないと述べた。同氏の使用人二人は二月、ならず者に捕らえられ拷問のうえ殺害された。一人は逃げ帰り、ベレン当局へ訴えたがナシのつぶてであったという。
 農地改革省のオリベイラ長官によれば、犠牲者らは農地占拠運動(MST)のメンバーではなく、偽造地権でだまされて農地を購入した入植者の可能性もあるとみている。