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コラム 樹海

 昨日の九月十五日は日本の「敬老の日」。総務省が纏めたところによると五人に一人が高齢者だそうだ。六十五歳を超えるとお年寄り扱いする理由がはっきりしないけれども、どうやら「敬老の日」を国民の祝日と決めた一九六六年の国民感情があるらしい。当時、日本の平均寿命は、男性が六十八歳、女性が七十三歳であった。これからすれば六十五歳も当然―高齢者になる▼ところが寿命は延びる一方なのである。今は男性が七十八歳女性は八十五歳である。古稀と言えば昔はお年寄りの代名詞であり尊敬され慕われもした。だが―「敬老の日」が制定されて約四十年が過ぎた現在米寿や傘寿は愚か卒寿も珍しくはない。何しろ百歳を超えた長寿者が二万人を突破している。元気な人は現役で活躍し若い人々にも負けない。こんな世の移り変わりを見ると、六十五歳をもって高齢者と呼ぶのは失礼な気もする▼コロニアのご老人たちも元気すぎるほどに頑張っている。サンパウロ新聞編集主幹の内山勝男氏や援護協会の和井武一会長も卒寿に達しているが、いささかの衰えもない。女子教育に生涯を捧げた赤間みちへさんは十八日に百歳の誕生日を迎えられるが、卒業生と記念パーティーを開く矍鑠ぶりなのである。こうしたご老体らは心の奥に「不老の門」を打ち建ているのに違いない▼今も尚、高齢者を排除する風潮が強いけれども、彼らの体験と知識を生かしたい。余生を静かにではなく第二の人生を歩むような社会の仕組みをこそ急ぐべき課題だ。(遯)

03/09/16