9月17日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十六日】ルーラ大統領は十五日、国連人権委員会からブラジル治安当局の人権侵害について異例の立ち入り検査勧告を受けた。国連のアスマ・ジャハンジル弁務官は十月八日にブラジル入りしバイア、ペルナンブッコ、パライバ、パラー、リオ、サンパウロ州を視察する予定。同弁務官のブラジル報告は、年末までにまとめられ公表される。
ブラジルの治安当局の実態が、世界へ暴露されることになりそうだ。国連人権委員会の懸念はブラジルの殺人件数が、コロンビアの内戦犠牲者や中近東の紛争犠牲者を上回るとした。一九九九年上半期でブラジル全国に二万三千人の殺人事件があり、二千人は治安当局によって殺害された。
国連人権委員会に提出されたNGO報告書によれば、ブラジルの治安当局による犯罪や暗殺は広範囲で日常茶飯事となっているとした。報告書はNGOグローバル法治団体によって、サンパウロ市、カンピーナス、米国ボストン、英国ロンドン四市の実態調査を行ったもの。
同報告書はブラジル治安当局の怠慢、共謀、実行犯、公的機関の職員による拷問致死を指摘している。二十七州のうち首都を含む二十四州で、治安当局による容疑者殺害は通弊となっていると記録されている。ブラジルは容疑者を事実の確認も行わず、殺害する国々のひとつだとした。
ブラジルの最も忌むべき点は、人権侵害が日常茶飯事に行われても、全州で全く罰されないことだという。国連から何度も注意勧告がなされても、当局は全く気に留める様子はない。
報告書は一九九七年からこれまで、両市で年間三百四十九人が治安当局によって死人に口なしと殺害され、二百二人は何ら取り調べることもなく葬られたと治安システムを報告した。
NGOは二〇〇一年七月、首都第一コマンド(PCC)のメンバーと目される四人が軍警四人によって殺害されたシャカル事件、カステロ・ブランコ街道のソロカバ付近でPCCメンバー十四人を問答無用と殺害した事件を取り上げた。
カンピナス、リベイロン・プレット、グアルーリョスには必殺隊の暗躍もある。グアルーリョス署では十人の軍警が、そのメンバーであったことが発覚した。サンパウロ州検察局は必殺隊の実態を捜査しているが、終了するまでは公表することもない。