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ポン・デ・アスーカル 倒産から立ち直る=仕事第一主義を徹底=ポン・デ・アスーカル社長 処世術を明かす

9月18日(木)

 【スセッソ誌】ポン・デ・アスーカルの総帥アビリオ・S・ジニス氏は六十三歳。従業員が六万人、年商は百十七億レアルを誇る業界大手だが倒産前夜までいった。親族一掃という荒治療も行いコンサルタントCDBに立て直しを依頼した。次は同氏の失敗と成功から得た人生哲学であり処世術だ。

 同氏は、ポン・デ・アスーカルをはじめ、エストラ、エストラ・エレトロ、バラテイロ、コンプレ・ベンのグループ五社を統括する。
 【少年時代】毎晩遅くまでエンパーダ(小パイ)作りを手伝い、配達が同氏の役目だった。毎日登記役場や教会を回り、誰が結婚するかを調べ注文を取った。これはG・ヴァルガス大学を卒業するまで続いた。
 【青年時代】米国留学して大学教授になることを考えていた。父が店のわきにスーパーを造るといい出し、父の命令で海とも山ともつかないスーパーの研究を始め、興味を覚えた。 
 【創業時代】スーパーの先輩ペギ&パギやジスコをのぞき、海外へ行ってW・マートやカルフールを見学した。他社の良いところと独自の思想と文化を取り入れ、ポン・デ・アスーカルの方針がまとまった。
 【経営理念】他社のまねをしても、どこか違う特徴も必要だ。この違いが競争相手に勝つ秘密兵器なのだ。スーパーの生命は、生鮮食品。生鮮食品が充実していれば、スーパーは成長する。生鮮食品以外はわき役だ。
 【失敗=一】徹底した経費節約で、清掃、飾り付け、包装、快適、ぜいたくを省き、商品も二流品を並べ廉価販売で低所得層を狙った。これは失敗だった。低所得層は人一倍、温かい丁重な接待を求めているのだ。
 【失敗=二】バラテイロの営業部長が、イタリア・ブドウの特売をするという。客層は低所得層で高価な高級果物の特売は疑問だった。しかし、結果は大成功だった。私の見込み違いだ。
 【経営理念】まず企業には使命がある。そのために三本の柱がある。一は資金、二は技術、三は心。それで何かが欠けるなら各自が考える。顧客が針を一本購入したら、商品在庫から差し引き、納品業者へオンラインで報告する。レジに入金し、資金係は支払い準備をする。これらの処理を、同時に寸分たがわず行う。
 【景気後退】マスコミがいう景気後退は、ポン・デ・アスーカルにはないし、ブラジルにもない。今年五月は売上が落ちたが、自然の波であって景気後退ではない。売上が減少しても、経費は毎月同じだけかかる。経費は爪のようなもので、いつも忘れず切ることだ。
 【モットー】従業員は〃仕事第一〃だ。自宅は寝るために帰宅するだけで、子供の顔を見ることもない。妻から三くだり半を突き付けられることもある。この仕事第一主義が、全ての難関をも突破させるのだ。
 【ゼロ出発】ポン・デ・アスーカルは倒産という死線を越えた。従来のタイプのスーパー時代は終わった。新たにスーパー業界へ参入するなら新しい時代に要求される夢と文化を提供するスーパーを立案することだ。