9月18日(木)
十二日、サンパウロ州ジャカレイ市にあるColegio Objetivo Juniorで、農業と環境 (Agricultura ー Meio-Ambiente)をテーマとする学園祭が開催された。この学校は、十四年前に開校した名門の私立校で、二歳の幼児から小中学生を合わせて約二百人の児童生徒が在籍、多数の日系子弟もここで学んでいる。
「(学園祭を)初めて企画しました。ヒントを与えてくださったのは、コチア農業学校の鈴川行治先生です。環境と自然と農業の理解を深めさせるために、子供たちを幾度かコチア学校に連れて行った(本紙・二〇〇二年十月十六日既報)ところ、効果が出てきて、自分たちの生活環境に大きな関心を持つようになってきたのです。それで、鈴川先生の協力を得て企画しました」と校長のソニア・メーロ女史。
教室には、コチア農業学校から提供された植林用の苗木、食用油を再利用した環境にやさしい石鹸、水の簡易浄化設備、水耕栽培の野菜、蘭などの花、ジャカレイの気温と雨量のグラフなどが展示された。特に、気温と雨量はコチア農業学校で毎日観測しているデータの統計なので、身近なものとして子供たちの興味を誘っていた。
また、展示された野菜の苗木は、子供たちが九月五日にタネを蒔いたものが芽をふき、二センチほどに生育したもの。数ある展示品の中で、野菜の苗だけは自分たちが手がけた〃いのち〃の証しのため、子供たちは次から次に見にきては喜んでいた。
大豆の効用についてのポ語資料には、関連情報として日本人移民の紹介を添付。教室の黒板に先生から児童生徒たちへのメーセージとして「人間は植物がないと生存できません」と大きく書かれていた。
学園祭には父兄も大勢参加していた。野菜コーナーを担当していた小学二年生のカロリーナちゃんは「野菜はママイから借りてきて展示しました。きょうはとても面白かった。植物がないと私たちが生きれないことが分かったわ。早く木を植えたい!」と目を輝かせていた。
コチア農業学校では、約十種類五千本ほどの苗木が育てられており、雨期を待って、この学校の児童生徒たちがコチア農業学校にいる南米諸国からの研修生と一緒に植林を体験することになっている。
このように、〇一年と〇二年に経団連自然保護基金(本部・東京)の助成でコチア農業学校に建設された環境教育センターと育苗センターが、地域の子供たちに対する環境教育にも役立ち始めている。環境への子供たちの理解が行動に結びつくとき、より明るい未来が約束されるだろうことは間違いない。ジャカレイ市での小さな動きが輪となって大きく拡がることを期待したい。