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パラグアイ=国境で日本人殺害=デカセギ送金狙いか=日系宗教施設で遺体発見=ブラジル人ら3人を逮捕

9月18日(木)

 ブラジル東部国境に近いパラグアイのペドロ・ファン・カバジェロで十四日昼、ホリゴメ・キヌエさん(七二)が頭にビニール袋を被されたまま死んでいるのが見つかった。ホリゴメさんは隣接するブラジル側の町ポンタ・ポラン在住で、遺体が発見された宗教団体「霊友会」の施設を管理するため足を運んでいたという。両国の捜査当局は十六日、強盗殺人の疑いでアルゼンチン人とブラジル人二人の計三人の容疑者を逮捕した。地元紙のドウラードス・ニュースによると、三人は容疑を認めているという。

 ホリゴメさんには殴られた形跡があり、霊友会施設の一室に放置されていた。逮捕されたのは、アルゼンチン人のラウル・エンリケ・モンテ・ノーヴォ容疑者(四二)、ブラジル人のジョアン・リベイロ・デ・ソウザ容疑者(六五)、マルセロ・マルチンス・フレデリコ容疑者(二〇)。捜査に当たるヴァウディール・シケイラ・ピント署長によると、ホリゴメさんを殺害したのは主犯格と見られるラウル容疑者だという。
 ラウル容疑者は二〇〇一年にも強盗殺人の前科がある。ホリゴメさんの夫は数年前に日本に出稼ぎした経験があり、ホリゴメさん宅の近くに住んでいた同容疑者は出稼ぎで得た金を奪おうと、犯行に及んだらしい。ホリゴメさんは一人暮らしだった。
 施設内でホリゴメさんを殺害した後、ラウル容疑者らは自宅の鍵を奪い取り、ポンタ・ポランのホリゴメさん宅に侵入。百五十レアルを盗んだ後、金庫もこじ開けようとした。
 ポンタ・ポラン周辺では治安が悪化しており、先日も出稼ぎ帰りの日系家族が殺害され、現金を奪われる事件が起きている。
 ポンタ・ポランを管轄する南マットグロッソ日伯文化連合会の小野享右会長によると、同地には現在約二十の日系家族が在住しているが、距離的な問題もあり、ほとんどがパラグアイ側の日系社会と交流しているという。「最近は強盗など治安が悪化しているので、嫌気がさして日本に出稼ぎしたまま帰ってこない一家も多い」と特に驚きを見せずに語った。
 ポンタ・ポランで商業を営む竹内マサルさんは「ホリゴメさんは、施設の管理のため家族と離れて住んでいた。こんなことになるとは」と話した。