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援協=栃木県人会が1000R$寄付=イタリアぶどう功労者=臼井さんのために

9月18日(木)

 [既報関連]果樹品種研究家で「イタリアぶどう」をブラジルに根付かせた臼井晋さん(九二)が今月から、生活困窮者としてサンパウロ日伯援護協会(和井武一会長)の特別養護老人施設「あけぼのホーム」に入所している。臼井さんが栃木県出身ということで、在伯栃木県人会の坂本アウグスト進会長、久保田豊副会長が十七日、援協を訪れ、「福祉事業に役立てて欲しい」と、和井援協会長に寄付金千レアルを手渡した。
 臼井さんは一九三五年渡伯。サンパウロ市郊外のフェーラス・デ・バスコンセーロス市で「イタリアぶどう」の品種改良に、永年にわたり貢献した。しかし、一年前、転倒した際に負ったケガが原因で寝たきりに。妻を亡くし、子どもがいない臼井さんの面倒をみていた隣人夫妻も、高齢化で介護が困難になり、「あけぼのホーム」へ引き取られることになった。
 栃木県人会は十三日、定例役員会を開いた際、臼井さん援助が議題に上がった。臼井さんの功績について、県人会内部でもしばしば話題に上っており、二年前、「イタリアぶどう生みの親」記念切手が発行されることが決定(いまだ発行されていない)、以来三回、県人会幹部が臼井さんを訪問している。この日、役員会では満場一致で臼井さん援助が決定した。
 県人会の坂本会長と久保田副会長は十七日、援協を訪問、和井援協会長と会談した。久保田副会長は、「以前から、県人会に余剰金がでれば、一年に一回ぐらい、福祉事業に寄付したいという気持ちがあった。県人がお世話になっていれば、なおさらのことです」とし、和井援協会長は、「臼井さんは功績があるにも関わらず、大変、苦労している。ブラジル人経営の施設入所も考えたが、日系人全体のなかの一員として、臼井さんは、ぜひ、『あけぼの』に入ってもらおうと思った」と語った。
 なお、和井援協会長によると、入所当時、衰弱しきっていた臼井さんは、いまでは自分で食事を口に運ぶことができるまでになったという。「一人のお年寄りに三人がかり、二十四時間体制で介護をする。臼井さんの場合、経済的に厳しい。県人会の寄付が、次の寄付の呼び水になってくれれば」と、果樹栽培者や関係者らの協力を呼び掛けている。