9月19日(金)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙十八日】中央銀行通貨審議会(COPOM)は十七日、インフレ動向の見通しが明るいとして基本金利(SELIC)を二%引き下げ年利二〇%とすることを決めた。これでSELICは、昨年十月の水準に引き戻した。市場関係者の思惑通り四カ月連続の引き下げで累計六・五%となった。サンパウロ州工連(FIESP)は景気回復の兆候が見えているのに、中銀はまだ経済サイクルに乗っていないと不満を示した。
今回のCOPOM決定で見込みインフレ率を差し引いた実質金利は、一四・六%から一二・七%へ下がったことになる。次回十月二十一日のCOPOMへ向けた予測については、何も触れていない。インフレ沈静化に伴い経済指標も、景気停滞を示している。
COPOMは八月、地理統計院(IBGE)による国内総生産(GDP)低下や消費の落ち込み、失業率の増加発表の一週間前に基本金利を一挙に二・五%引き下げた。景気の落ち込みに、歯止めをかけようとした。政府の経済スタッフは当時、年末までに一七%から一八%までに引き下げる心算だったようだ。
中銀の基本金利(SELIC)は、国債を担保とした銀行間取引にかかる利率や都市銀行への資金投入で金利などの指標とされる。SELICの動向は、為替相場にも大きく影響する。八月のCOPOMではドル通貨は二・九九レアルであった。SELICを二%下げた十七日は、二・九一レアルに下がった。
基本金利を下げると、投資家はドル投資をレアル投資へ切り替え、レアル通貨が高騰する。消費が伸びず生産が上昇しなくても、インフレ率が上がった。これまでは、消費の増加を伴わないインフレ上昇であった。先月過去一年のインフレ率は、IPCAで九・七四%であったが消費は見合うだけ伸びていない。
FIESPは、中銀の通貨政策が経済活性化のためには生ぬるいと批判した。全国工連(CNI)も工業開発院(IEDI)も、中銀はもっと思い切った策を打つべきだと批評した。都市銀行も、金利の引き下げ協力をするべきという。
今回も最低二・五%は、引き下げて欲しかったという。失業率が一三%に近く、経済は空回りしている。投資と消費を覚醒させるため、二%では焼け石に水だと、ピーヴァ会長が苦言した。インフレが掌握され経済回復の兆候が見えるいま、金利の画期的引き下げは可能だと、会長はいう。
工業も商業も小売りの販売促進に努力しているが、在庫整理が一向に進まず苦しんでいる。IEDIは、四%の引き下げを提案した。八月の金利引き下げの効果は、まだ見えていない。インフレ率はゼロ状態にあり、内外の条件はそろったとみている。年末の三カ月で消費は動くと予測するが、政府の対策は後手であると産業界は抗議している。